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医療法人社団 敬水会
江戸川橋鈴木クリニック

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オンラインHDF7

リンについて、考え直しています。というのは、オンラインHDFにすると食欲が増してリンは高くなっていきます。透析効率は上がるので、リンの値は最初は下がりますが、食欲増進とともに上がってきます。それでも、今の日本の基準の5.5以下を目指すべきでしょうか? 5.5以上あると1上がるごとに23%死亡率が上がるという論文から、これを根拠に低くするよう薬を調節する指導が一般化していますが、、考えてしまいます。リンが上がれば石灰化して、血管がかたくなって死にます。という理論ですが、確かに心臓に石灰化するような動脈硬化があれば予後は悪いでしょうが、リンだけが原因なのでしょうか。
石灰化というのは意外に難しくてカルシウムとリンが一定数値以上あれば何でもかんでも石灰化するものではありません。以前血管の培養細胞で液のカルシウムとリンを変えて培養したことがありますが、簡単には石灰沈着しませんでした。今では、さらにいろいろ栄養などを変えると石灰化することがわかっていて、石灰化培養培地ということで売っています。また、身体には骨以外石灰化しないようにもともと石灰化を防ぐ蛋白質があってこの蛋白質がなくなると石灰化しやすくなることも明らかになっています。この蛋白質もひとつではない可能性があります。もちろんリンだけが悪いというような結果もありますが、あまり詳しく書いてもしょうがないので。
なので、リンだけに石灰化の原因を押し付けるのはどうかと考えられ始めました。また最近になって8以下ぐらいで推移していれば生命予後は変わらないとする論文もあり、結論までは時間がかかりそうです。ごく最近読んだ意見では、“リンを低く保つために食事療法を徹底してというような厳しい制限は、糖尿病で、血糖を低く厳しく制限すべきであるということに似ている”とありました。“糖尿病では厳しすぎてかえって低血糖が多くなり、生命予後が悪くなって反省されている。同様にリンの厳しい制限は栄養が悪くなりかえって有害かもしれない”と述べていました。
透析は一生ものです。データをあわせるというよりはいかに生命予後をよくするかが大事なことであるといわれてきています。私の考えではリンは7とか8以下で、食欲があれば高くても無理に下げなくてもいいと思います。
オンラインHDFをはじめて3年、動脈の石灰化を手、おなか、首、心臓などで、診ていますが、特にひどくなった方はいません。