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HDFとは…

HDFとは、“Hemo Dialysis Filtration”の略で、日本語では“血液濾過透析”といいます。HDFはオンラインでなくとも可能です。
この治療法は20年以上前からわかっていましたが、“保険が適応にならない”“管理が難しい”という理由から多くは行われてきませんでした。私は許可をいただき、いくつかの施設で2~3人の患者様にこの治療を施行しておりました。
オンラインHDFは保険にも許可された方法であり、また自動化によって管理が簡単になった画期的な方法といえます。



1.HDF療法
普通の透析(HD)では、血液を体から取り出し、ダイアライザーという穴のあいた中空の糸の中に通し透析液と触れさせ、それにより血液中の老廃物を排泄させます。穴を通る尿毒素は透析液が薄く、血液が濃いのでこの濃度差によって拡散(=Dialysis)します。一方、濾過(HF)では、血液側に点滴をして圧力を加えて、搾り出します。これは濃度差にはよらずに穴より分子量の大きい物質も透析液側に押し出されます(=Filtration)。HDFはこの2つの方法を合わせて行うものです。

例えば…
中1日で2kg増えてきた方の場合は、2kg分の水分を取り去らなければいけないので、ダイアライザーを通して2Kg分水を引っ張って取り去ります。中空糸の穴を通らないβ2マイクグロブリンなどは通りません。HDFを行うときは、この除水に加え点滴をたとえば8L行います。そうすると、ダイアライザーを通しては、2L+8Lの合計10L穴を通過することになります。さらに圧力で押し出すので、β2マイクグロブリンも取り去られます。普通の透析以上に穴を通る小分子の除去効率も上がると同時に、穴を通りにくい中分子蛋白質などの除去効率も上がり、透析条件がより良くなります。正常の腎臓では、血圧を利用して糸球体濾過という方法で一日180LのHFを行っているのです。

この意味で血液透析HDは非生理的といえるかも知れません。血液から濃度の高い尿毒素が抜け、血液の尿毒素が低くなると、今度は組織間液から高濃度の尿毒素が血液に流れていくので、透析終了後もこのようなアンバランスにさらされることになります。しかしHDFでは、この何倍もの量の液が通過するので、このようなアンバランスは少なくなります。


2.HDFの利点
1)普通の透析で取りきれない老廃物の除去
透析アミロイドーシスの原因とされているβ2マイクログロブリンの除去効率が良くなります。β2マイクログロブリンに限らず、いろいろな種類の中分子蛋白質の除去が良くなることで、手根管症候群・心臓などの各種臓器へのアミロイドの沈着・破壊性脊椎炎などの合併症を予防できます。
また、全身の痒み・下肢のイライラ感などの不愉快な症状・色素沈着の改善も認められると報告されています。この神経症の原因物質はわかっていませんが、やはり分子量は20000以上と考えられています。

2)血圧の安定
HDFを行うことで透析中に血圧が下がりにくくなるとも言われます。透析中に血圧が下がって問題となる方などには血圧の維持を目的として行われることもよくあります。HDFを開始して透析中の血圧が安定して下がらなくなり、落ち着いてしっかり除水できるようになることもあります。

3)普段の血圧の安定
HDFをはじめると、普段の血圧が落ち着いてきて血圧のお薬を減らしていける方もいらっしゃいます。

4)貧血の改善
貧血を治すために普段は透析の度にEPOや鉄剤の注射をすることが多いのですが、HDFを開始してEPOを注射する量が減らせるようになることもあります。

5)食欲の改善
HDFで不要な老廃物が除去されることで調子が良くなり、多くの方が食欲が出てくると言われます。ただ、食事量が増えることでリンなどの値が高くなることもありますので注意が必要です。


2.実際のデータ
実際にどの程度の置換量をどのような患者さんに行うかはデータや症状によりまちまちです。が、30例以上をまとめた報告ではβ2マイクログロブリンの除去効率は66%減っている事が明らかです。血圧の不安定を訴える率は45%で減少し、Kt/vは30%の人で上昇が認められています。
私のデータでは、心筋の収縮能が明らかに改善され、貧血の改善も認められました。特に大きな副作用はありません。
もちろん、低蛋白血症・肝硬変などで、HDFが不向きな場合もあります。この場合は置換量を0にすればよく同じ機器で対応できるので、どのような条件の患者さんでも対応できるのです。

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