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トンズランス感染症について

トンズランス感染症とは

白癬菌の一種である「トリコフィトン・トンズランス菌」が起こす新しいタイプの水虫で、2000年頃に欧米から日本に持ち込こまれ、現在、静かに広がりつつあるトンズランス感染症は、肌が触れ合うことで感染するという特徴があります。
柔道やレスリングなどの格闘技をする人の間で広まることが多く、2006年〜2008年に国内試合での感染が急拡大し、大きな問題になりました。

トンズランス感染症の特徴

■日本に以前からある白癬菌と比べて感染力が強い

■肌と肌をこすり合わせただけで、皮膚表面に赤い乾燥した湿疹が広がる

■頭髪の根元(毛根部)を好んで寄生する

■顔や胴体にできた湿疹を放置すると、やがて頭部にすみ着き、かゆみ、ふけ、抜け毛などを引き起こす

主な症状

■頬、額、首筋などにこれまで経験したことのないカサカサの湿疹が広がった

■急にフケが増えた、いつも頭がかゆい、頭皮にかさぶたや毛の薄いところができた

診断方法

湿疹の表面やブラシで頭皮をこすって採取したフケに含まれる菌を培養し、感染を確認

治療法

■顔や胴体の場合

・抗真菌剤を含有した軟膏の塗布

・市販の水虫薬の場合は、抗真菌作用の強い新しいタイプの製品を選ぶ

■頭皮の場合

・菌が少ない場合は、抗真菌薬を含有した市販のシャンプーを3ヶ月程度使用で治ることもある

・菌が多い場合は、爪水虫の治療にも用いられる内服薬を1〜2ヶ月服用

強い感染力に比べて症状がマイルドであるため、本人が気づかず菌が定着し、無症候性キャリアとなって新たな患者を増やします。
また、格闘技を行っている学生はトンズランスに関する知識があるので感染に気づいて受診する割合が多いが、そうでない人は気づかずに悩み続けることもあります。

家族や友人などに格闘技を行っている人の顔や胴体に、これまで経験したことのない湿疹が広がったり、急に頭部のフケやかゆみが強くなったりした場合は、一度皮膚科で診察を受け、初期のうちに適切な治療を受けることが大切です。