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心筋梗塞、胸痛15分で救急車を 早期治療で後遺症少なく

【心筋梗塞とはどんな病気】
心筋梗塞は、心臓の筋肉に血液を送る冠動脈が詰まり、血流が止まって心筋が壊死(えし)する病気です。冠動脈内に「プラーク」と呼ばれる脂質がたまり、それが破れると血栓ができます。血栓で冠動脈が詰まり心筋梗塞が起きてしまいます。

【主な症状】

■胸や上半身の激しい痛みが、15分以上続く
胸を締め付けるような激しいケースが多いものの、首や背中、腹部に痛みを感じることもある。歯や腕、胃が痛むこともある。
※痛みは通常15分以上続きます。こうなったら急いで救急車を呼び、専門医がいる病院へ行く必要があります。早く、必要な治療を受ければ、生存率が上がり、重い後遺症も避けられます。

■強い不安感や冷や汗、吐き気や呼吸困難
■狭心症の症状に使うニトログリセリンを3回服用しても痛みが治まらない

【原因】
筋梗塞は高齢者に多い病気です。年をとると、動脈硬化が起きやすくなります。最近のデータでは心筋梗塞の発作が初めて起きる平均年齢は男性が65 歳で、女性は75歳。ただ欧米をまねた食生活や運動不足から「20~30代でも心筋梗塞の患者が増えている」と言われてきています。喫煙や高血圧、高脂血 症や糖尿病も動脈硬化になる原因です。

【検査と診断】
■心電図検査で、狭心症と区別する
検査は症状が似た狭心症と区別するのが目的。狭心症の場合は、病院に着いたときには心電図は正常に戻っていることが多い。心筋梗塞では心臓の電位が大きく上下に動く特徴的なラインを描く。

■血液を採取し、壊れた心筋細胞が出す酸素を調べる
心筋梗塞では心筋細胞が破壊されて酵素が血中に漏れ出します。この酵素の有無を調べます。ただ発作から酵素が検出されるまで4~5時間かかることが多いため、繰り返し血液を調べます。

■冠動脈に造影剤を入れ、詰まり具合を確認する
冠動脈にヨード造影剤を注入し、血管の詰まり具合を撮影して心筋梗塞だと判定します。カテーテルと呼ぶ細いチューブを太ももや手首の動脈から差し入れ、冠動脈まで送り込みます。
さらにカテーテルを通じて造影剤を注入します。ここまでの診断を、病院到着後数十分以内にこなします。

【治療法】
心筋梗塞と診断されれば、冠動脈の血流を再開させる治療が始まります。
まず造影検査で差し込んだカテーテルの先端に取り付けた風船を膨らませ、冠動脈を広げる。次にカテーテルを通じてステント(筒状の金網)を血管内 に入れ、血栓を押さえて血管を広げます。発作後1時間で血流が再開すれば後遺症はほとんどない。6時間以内なら血流が再開しやすいと言われています。血栓 を溶かす薬もありますが、日本ではほとんどの患者がカテーテルやステントを使用します。

冠動脈がひどく狭まっている場合は、カテーテルの先端につけたダイヤモンドの刃で動脈硬化した部分を取り除く手法もあります。
血流再開後は1~3日程度を集中治療室で過ごし、手術の翌日には患者はベッドの上に座り、2日後には立ち上がれるときもあります。その後はリハビリの歩行距離を徐々に伸ばしていき、1~3週間後に退院するのが一般的なパターンです。
素早く血流を再開させる技術が発達したために心筋梗塞の死亡率は5%程度まで下がり、手術後の回復も早まりました。退院後には血栓をできにくくする薬を飲み続けます。

【注意点】
動物性脂肪が多い高カロリー食に子どもの頃から親しんだ世代が中年に差し掛かり、今後は心筋梗塞の患者が国内で増える恐れがあります。適度な運動やバランスの取れた食事、ストレスを避けるなどの生活改善が大切です。

心筋梗塞の発症は冬に多いとされています。暖かい室内と寒い室外との温度差で血圧が変動し、心臓や血管に負担がかかるためです。ただ国立循環器病 研究センターの集計によれば、夏に急性心筋梗塞で入院する患者数は冬の6~7割と、決して少なくはありません。夏場でも油断できないので、まずは自己管理 た生活改善から注意が必要です。

また痛みが発症したら15分以内に急いで救急車を呼び、専門医がいる病院へ行く必要があります。早く、必要な治療を受ければ、生存率が上がり、重い後遺症も避けられます。