慢性閉塞性肺疾患(COPD)について
COPDは空気の通り道である気道の炎症や、酸素を交換する肺胞の破壊などが起こり、徐々に呼吸が苦しくなる、「慢性気管支炎」や「肺気腫」といった病気の総称です。
患者の90%以上は喫煙が原因と考えられ「たばこ病」とも呼ばれています。
以前は男性の病気とされていましたが、近年、若い女性を中心に喫煙率が上がっているため、女性にとって注意すべき病気の一つです。女性は男性よりたばこの害を受けやすいといわれ、COPDも男性より発症しやすく、今後、女性の患者の急増が見込まれています。
【 なぜ女性が発症しやすいのか ~4つの原因~ 】
- 体格
女子は男性よりも肺が小さく肺の体積に比べて相対的に気管の容積が大きくなるため、気道の病気であるCOPDにもかかりやすい。 - ホルモンの影響
女性ホルモンのエストロゲンが少なくなると、COPDを発症しやすくなるという指摘がある。 - 気道の性質
女性の気道は外部からの刺激に対して敏感に反応し、収縮しやすいため、同程度の喫煙でも発症しやすく、重症化しやすい。 - たばこへの依存性
社会的なストレスを抱えた女性は喫煙に依存する例が見受けられ、禁煙がしにくい。
【 検査方法 】
喫煙者やかつて吸っていた人などには、肺の機能を調べる「スパイロメトリー検査」や、「肺ドック」などを定期的に受診することが勧められます。
【 主な予防・治療法 】
- まず禁煙。発症や病気の進行を抑えられる。
たばこはCOPDだけでなく、がんの発症や、心臓病や糖尿病のリスクも押し上げる。 - 肺の機能診断などを定期的に受ける。
- 受動喫煙に気をつける。
- 気管支を広げる薬や炎症を抑える薬などを吸入する。
- 散歩など運動をする。
- 腹式呼吸で効率よく呼吸し、呼吸困難を防ぐ。
COPDは、たばこを吸わないからといって無縁ではなく、受動喫煙も発症原因になります。
また、喫煙しない女性は、発見が難しいタイプの肺がんにかかるケースが増えています。
喫煙者の肺にたまったたばこの煙は2時間ほど出続けるため、分煙していても受動喫煙してしまう場合もあるので、注意が必要です。
※3月16日(金)の日経新聞掲載記事参照