私は、平成12年に近畿大学を卒業し、医師となりました。消化器内科に入局した当時は、優れた内視鏡医になりたくて、日々精進していました。そんな自分が今、訪問診療に打ち込むきっかけとなったのは、医師になり2年目の研修病院でご指導いただいた先生との出会いでした。
先生は、寡黙でいつもむすっとされていて、話しかけるのも怖いくらいでしたが、患者さんの治療に全精力を傾け、いつも真剣に患者さんに向き合われていました。肝臓癌末期の患者さんを先生と一緒に担当させていただいたとき、言葉少ない先生が「患者さんに痛い、つらい思いをさせてはいけない。」と私に言われたとき、私はまだ未熟で、緩和ケアという痛みやつらさを和らげる治療の本質を理解できていませんでした。
その後、緩和ケア看護師チームの皆さんと出会い、教えていただきながら、少しずつ経験と理解を深め、ケアマネさんや色々な職種の方々との連携が必要なチーム医療も学びました。
入院している患者さんから、「家に帰れる?」「家に帰りたいわ。」何度言われたでしょうか。その中で、患者さんのその思いを、少しでも実現したいと思い、訪問診療の世界に飛び込みました。私一人ではまだまだ先生に追いつけませんが、一緒に仕事をしてくれる素晴らしい仲間と力を合わせ、これからも頑張りたいと思っています。