副腎がん
副腎がんはどんな病気?
副腎がんとは副腎皮質の細胞から発生する悪性腫瘍を指します。副腎は腎臓の上に左右一つずつあり、体の恒常性を保つために必要なホルモンを分泌する役割を果たしています。
副腎は大きく分けると副腎皮質と髄質に分かれますが、副腎がんは特に副腎皮質の細胞から発生する悪性腫瘍を指します。
髄質に生じる悪性腫瘍は悪性褐色細胞腫、神経芽細胞腫などと呼ばれます。
罹患率は100万人に約2人ほどと非常にまれな疾患と言えます。高血圧、糖尿病、肥満に伴って発症する副腎がんも存在します。
特徴的な症状はほぼなく、症状が進行すると痛みや吐き気、便秘などが現れます。
副腎癌がホルモンを過剰に産生しているかどうかを確認することでも診断が可能です。
腫瘍の大きさや転移が見られるかによってI期~IV期までにステージが分けられています。副腎がんの治療は非常に難しく、5年生存率は約3~4割ほどです。
完全に切除することが可能か、診断を受けた際にどの程度症状が進行しているかが予後に大きく影響します。
主な症状
副腎がんを発症しても初期の段階ではほとんど症状が現れません。進行してがんが大きくなっていくとふくらみを生じ、体の外から腫瘍に触れるようになる場合がります。
また腹痛、便秘、吐き気なども現れるようになります。このように自覚症状が現れてから医療機関を受診して発見されるケースが多いです。
早期に症状がないことから初期の段階での発見は非常に難しいとされています。
健康診断などで行う超音波検査、CT検査によって副腎がんを発見することもでき、初期に発見されるケースではこのような検査から偶然発見に至る場合がほとんどです。
自覚症状が現れる段階では、腫瘍は約5cm程度の大きさまで進行していることが多いです。
また副腎は血圧などを調節するホルモン分泌に関わるため、副腎にできた腫瘍がホルモン分泌を異常に促すことで糖尿病や高血圧、肥満などの症状につながるケースもあります。さらに進行すると発熱、食欲不振、体重減少なども現れる可能性があり、症状は多岐に渡るようになります。
主な原因
副腎がんを発症する原因はその他の悪性腫瘍と同じく、自身の正常細胞の遺伝子に異常や変異が生じることを原因に発症すると考えられています。通所人間には発がん関連遺伝子と呼ばれるがんを作る遺伝子と、がんの発生を抑制するがん抑制遺伝子が存在し、これらに同時に異常が起こった際に発がんすると考えられています。
ただ副腎がんは100万人あたりの罹患率が約2人と、非常にまれながんであり、その発症のメカニズムは明らかになっていません。
発症は10歳前後と40~50歳代に多い傾向があります。男女で比較すると女性は男性の1.5~3倍発症率が高いとされています。
副腎は腎臓の左右に一つずつあり、腎臓とともに脂肪に包まれています。
副腎の皮質と髄質ではそれぞれ異なるホルモンが作られており、副腎がんを発症する副腎皮質では体の水分や電解質の調節を行うアルドステロン、糖代謝に関わるコルチゾール、男性ホルモンなどが作られています。副腎がんを発症するとこれらのホルモンに関連する症状が見られます。
主な検査と診断
副腎がんの診断には血液検査、尿検査、CT検査、MRI検査、核医学検査などが行われます。血液検査と尿検査では主にホルモンの数値を測定します。副腎と同様のホルモンを異常につくるがんであればアルドステロン、コルチゾール、デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩、テストステロン、アドレナリン、ノルアドレナリンなどの数値にい異常が現れます。
CT検査では造影剤を用いた方法で行われます。副腎がんのほとんどは5cm以上と大きい特徴があります。
がんの周りが不規則であったり、内部が不均一に造影されたり、石灰化などが見られる場合があります。
造影剤での染色がよく、時間が過ぎてもよく染まっていればがんである可能性が高いです。リンパ節、肺、肝などへの転移も同時に確認できます。
MRI検査はCT検査で診断が困難であった場合に用いられる検査で、周りの組織へのがんの浸潤の程度を確認することもできます。シンチグラフィーなどの核医学検査は副腎がんがホルモンを過剰に作っている場合に役立ちます。
主な治療方法
副腎がんの治療は手術、薬物療法などが行われます。基本的に有効な手段は手術のみと考えられており、転移がない副腎がんであれば手術による切除が第一選択になります。
手術で腫瘍が完全に切除できれば予後の改善も見込めます。がんが周囲の臓器に広がっている場合にはそれらもまとめて切除するケースも多いです。
手術後に放射線照射をする場合もありますが、この方法は医師によって判断が分かれる方法です。
手術後に薬物療法を追加する方法はごく一般的です。その際にはミトタンと呼ばれる薬剤を用いることが多いです。
薬物療法は腎臓がんの転移が見られた場合や、状態が悪く手術が困難な場合に行われることが多いです。
手術後と同じくミトタンを用いて症状を進行させない目的で使用されます。
化学療法の中で腎臓がんに対する標準的な方法が確立されておらず、手術以外の方法では現状有効な治療法はないと言えます。
手術によってがんを切除した後も再発のリスクがあるため、定期的な検査を行う必要があります。