心雑音(小児) シンザツオン

初診に適した診療科目

心雑音(小児)はどんな病気?

心雑音とは心臓の雑音を指します。
血液が心臓弁や心臓の近くを流れる際に異常音を発し、特に心臓弁の開閉時におこります。
主に心臓弁の欠陥が原因である場合が多いですが、特別な理由がなく心雑音がする場合もあります。

特にこどもの心雑音には注意が必要で、新生児期や乳児期に現れる心雑音は先天性の心疾患が原因となっている場合もあります。

心雑音には収縮期雑音、拡張期雑音、連続性雑音などの種類があり、心臓の拍動の周期のどの部分で雑音が聞こえるかによって分類されています。

心雑音を引き起こす心疾患としては先天性心疾患、心臓弁膜症、心臓腫瘍、心不全などが挙げられます。
貧血や甲状腺機能亢進症などが原因となっていることもあります。

心雑音が指摘された場合、まずは先に挙げたような弁膜症が疑われます。
弁膜症を発症しているかは心臓超音波検査などで比較的容易に確認できます。感染性心内膜症の悪化や、心膜炎、心不全の悪化などが心雑音から発見されることもあります。

主な症状

心雑音がある場合でも、それに対する自覚症状はありません。
心雑音の原因となっている疾患について、それぞれの症状が現れます。心雑音は医師が診察で聴診を行い心音の確認をしてはじめて発覚するものです。
また無害性心雑音と呼ばれるものは特に原因となる疾患もなく運動など日常生活にも支障を来さすこともありません。

例えば乳児期に聞こえる心雑音は先天性心疾患によるものが多いです。
心室中隔欠損症などが例として挙げられますが、この疾患では母乳やミルクを飲むだけで疲れてしまい成長に必要な量を飲むことができない哺乳不良、体重増加不良といった症状が出現します。
また多呼吸、多汗、咳をしやすい、風邪をひきやすいといった症状もあります。心雑音を伴う重症の先天性心疾患は、乳児期に健診などででほとんど発見されます。
また幼学童期に心雑音で指摘される先天性心疾患はそもそも程度の軽いものが多い傾向にあり、目立った症状が現れないことがあります。

主な原因

心雑音には心臓が収縮した際に雑音が生じる収縮期雑音と、心臓が拡張した際に雑音が生じる拡張期雑音の2種類に分類されます。
心雑音が聞こえる場所と種類によって原因となる疾患を推測することができます。

心雑音が指摘された場合の中でも新生児期、特に生後1日から2日以降に始めて心雑音が聴こえた場合、ファロー四徴や両大血管右室起始、肺動脈狭窄、心室中隔欠損や動脈管開存など何らかの心疾患による可能性が高いとされています。特に重篤な心疾患は乳児期の心雑音で発見に至ることが多いとされています。

また乳児期に聞こえる心雑音の場合、心室中隔欠損や心房中隔欠損、動脈管開存、軽症の弁膜症などの可能性があります。
学校健診で心雑音が指摘された場合には、心房中隔欠損のような軽度の先天性心疾患によるものか、拡張型心筋症や肥大型心筋症などの後天性心疾患が原因として疑われます。
また風邪をひいて受診した際に心雑音を指摘された場合には無害性の雑音であることも珍しくありません。

主な検査と診断

心雑音の正確な診断は心臓超音波検査によって行われます。
ただ心雑音スクリーニングとして聴診が重要な役割を果たしており、医師が聴診によって心音を聞くことで発見されるケースが非常に多いです。

心雑音は心臓の鼓動と調和せず、音律を乱している点が特徴です。血液が心臓弁や心臓近くを流れる際に異常音を発します。
特に弁の開閉時に異音がする場合、心臓弁の欠陥が疑われます。心雑音そのものが体に悪影響を及ぼすものではなく、その原因として何らかの疾患が隠れています。
ただ全ての雑音が心疾患と関連しているわけではなく、機能性雑音と呼ばれる明らかな原因がない心雑音も存在します。

心雑音の原因となる疾患について詳しく調べるためには心電図や心臓エコー検査などが行われます。
心臓の形態と動きを調べることができ、心雑音を引き起こす心疾患の発見に役立ちます。
検査によって特定の疾患が疑われる場合には、必要に応じて血液検査や画像検査などさらに詳しく調べるための検査が行われます。

主な治療方法

心雑音は原因となっている疾患を特定してその治療を行うことで改善が期待できます。
例えば乳児検診で発見されることもある先天性心疾患には心室中隔欠損症などが例として挙げられます。
この疾患の治療は欠損の大きさや合併症の有無によって手術や内服薬などによる治療か、自然に閉鎖するを待つかが検討されます。
一方学校検診などで発見されることが多い心筋症の治療は心不全対策として内科的な治療が行われたり、拡張型心筋症の場合には手術が検討されることも多いです。

また特に心雑音の原因となる欠陥がない場合もあります。貧血や発熱等に生じる心雑音は症状が落ち着くと聞こえなくなるものも多い傾向があります。
機能性雑音と呼ばれるものは、明らかな原因がないものを指します。

小児の心雑音は重篤な心疾患を発見するために重要な意味を持っています。早期発見、早期治療を開始するために心雑音を指摘された場合には精密検査を受けることが推奨されます。