膝半月板損傷 ヒザハンゲツバンソンショウ

初診に適した診療科目

膝半月板損傷はどんな病気?

膝半月板損傷とは、膝の半月板が損傷する症状です。半月板はひざの関節の間にある軟骨組織で三日月のような形をしています。
軟骨にかかるストレスを減らし、膝を安定させるためのクッションの役割を果たしており、膝の内側と外側に1枚ずつあります。

交通事故やスポーツなどによって強い衝撃や圧力がかかると半月板が損傷することがあります。
また、加齢によって半月板は変形することがあり、負担のかかる動きをした場合にも損傷をうけます。特に多いのはスポーツ外傷によるもので、前十字靭帯損傷と合併している場合も多いです。

まれに半月板の形が一般的なものと異なり、半月や円盤状の半月板を持つ人がいます。その場合、小児期において膝半月板損傷を起こしやすいと言われています。

治療法においては以前は半月切除術によって切除する治療法が一般的でしたが、近年ではできるだけ半月板を温存することが優先された治療が第一選択とされています。半月を切除してしまうと、手術後の経過観察を続けた場合、症状により程度は異なりますが関節軟骨が傷んでしまうことが多いとされているためです。

主な症状

膝半月板損傷は痛み、腫れ、関節が動かしにくくなるなどの症状が代表的です。
また、膝の曲げ伸ばしなどが困難になり、膝が突然動かせなくなるロッキングと呼ばれる症状も膝半月板損傷の特徴です。
膝の半月板はひざのクッションやスタビライザーのような役割を果たしています。そのため損傷してしまうと切断された半月板が膝にはさまり、膝をスムーズに動かせずひっかかりを感じることもあります。
さらに重症な場合には膝に水がたまるようになります。これによって引き起こされるのがロッキングです。歩けないほどの激しい痛みを伴います。

初期段階で適切な治療が行われることが大切です。
治療開始が遅れてしまうと痛みが慢性化したり、水がたまり関節が張れる関節水腫、隣接する関節軟骨が摩耗する変形性膝関節症などを引き起こす可能性もあります。
変形性膝関節症は要介護や寝たきりとなる要因のひとつです。

損傷はその形態によって縦断裂、横断裂、水平断裂、変性断裂などの種類に分類されます。

主な原因

膝半月板損傷の原因となりやすいのが膝をひねる動作に大きな力が加わったケースです。
例えば大きくジャンプをしたときに着地に失敗したり、サッカーやバスケットボールなどの急な切り返しの動きなどが挙げられます。
またこのようなスポーツによる怪我では、膝の前十時靱帯や内側側副靭帯を損傷し、それと同時に半月板を損傷するケースもあります。

小児における膝半月板損傷の原因の多くは、生まれつき半月板の形が円盤状の子どもに起きる場合が多いです。
成長するに従い運動量が増えることで膝にかかる負担も増加し、通常の半月板と比較して損傷が起きやすいためです。

また、半月板損傷は加齢によっても起きるリスクが高くなります。これは半月板が加齢とともに変形したり、障害を生じやすい状態に変化していくためです。特に40代以降の中高年の場合、激しい動きではなく日常の軽い動作でも半月板損傷が起きやすとされています。変形性膝関節症に伴う内側半月板損傷も中高年に多いとされています。

主な検査と診断

膝半月板損傷の検査、診断にはまず問診によって自覚症状やきっかけとなった状況などを丁寧に確認します。
さらに膝に決められた動きを与えて反応を見る徒手テストなどが用いられます。ここで膝半月板損傷が疑われる場合にはMRI検査が行われます。

通常骨折などの検査に用いられるエックス線検査には半月板は写らないため、膝半月板損傷の検査には基本的にMRIが用いられます。
ただ周辺の骨について確認したい場合などにはエックス線検査が用いられる場合もあります。
MRI検査では半月板や周辺状況、靱帯損傷の合併の有無なども同時に確認することができるというメリットがあり、診断率は約8~9割と高い精度での確定診断が可能になります。
さらにくわしい状態を見る必要がある場合には、関節の中に内視鏡を入れて直接状態を確認できる関節鏡検査が行われることもあります。関節鏡検査は手術でも用いられる方法です。

痛みが慢性化する前に医療機関で早期に検査、診断が行われることがその後の治療における選択肢を増やすことにもつながります。

主な治療方法

膝半月板損傷の治療では保存的治療か外科的治療が行われます。
保存的治療は抗炎症剤や鎮痛剤を用いながらサポーターやテーピングによって患部を固定するなどし、リハビリテーションなども併せて行われます。
軽症の場合は保存的治療が行われることが多いです。また、近年では半月板を出来る限り温存することが優先されるようになりました。
半月板には軟骨にかかるストレスを減らす働きがあり、手術によって切除してしまうと、その後関節軟骨が傷むケースが多いことから温存優先の治療方針の医療機関が増加傾向にあります。

保存的治療でも症状の改善が見られない場合や、特に症状が重い場合には外科的治療として関節鏡手術が行われます。膝を小さく切開、内視鏡を関節部分に挿入する手術で患者への負担は少ない手術と言えます。切除術と呼ばれる半月板から損傷した箇所を切り取る方法と、縫合術と呼ばれる損傷部分を糸で縫い合わせる方法があります。半月板の状態に合わせてまずは縫合術が検討されますが、それが難しい場合には切除術が選択されます。