顔面骨折 ガンメンコッセツ

初診に適した診療科目

顔面骨折はどんな病気?

顔面骨折は顔のいずれかの骨が骨折した状態を指します。
顔の骨には前頭骨、眼球などがおさまっている眼窩、鼻骨、頬骨、上顎の骨、下あごの骨などが組み合わさった形を成しています。
転倒したり強くぶつけるなどした場合にこれらの骨にひびが入ったり、折れてしまうことがあります。
顔面の変形、疼痛、しびれなどの症状が現れることが多いです。顔面骨折の中でも多い骨折部位は前頭骨骨折、鼻骨骨折・鼻篩骨骨折、眼窩壁骨折などが挙げられます。

転倒した際に骨折しやすいのが鼻骨と頬骨です。眼窩底骨を骨折すると物が二重に見える複視、顎の骨を骨折すると歯のかみ合わせに異常が出るなどの症状が起きる場合も少なくありません。また、骨折をすると傷を負った直後に骨折した部分が大きく腫れるため、腫れが引くまでは実際にどのように変形しているのかがはっきりしないこともしばしばあります。

治療には機能の修復はもちろん見た目も含めて治療が行われます。そのため顔の骨折の場合は整形外科ではなく形成外科で治療が行われることがほとんどです。

主な症状

顔面骨折では各々の骨折に特有の症状が認められます。
これらの症状は、受傷直後に認められても受傷後の創部の腫れなどにより症状が一時的に隠されてしまい、受傷後数日して腫れが軽減した時に症状として顕著になる場合もみられます。

前頭骨骨折は見た目への影響が大きく額の陥没や変形が典型的な症状です。鼻骨も同じく見た目への影響が大きく、受傷直後に鼻血が出る、鼻がつぶれたり変形してしまう、鼻が詰まってしまうこともあります。眼窩底骨折の典型的な症状が複視と呼ばれる物が二重に見える症状です。その他には眼球の陥没、上唇や鼻に痺れを生じることもあります。頬骨骨折でも同じく陥没、上唇や鼻の痺れ、口が開かないなどの症状が現れます。顎骨の骨折では歯の骨折や、顔が上下に伸びる、顔面が平たんになるなど見た目が大きく変化してしまうことも少なくありません。特に下顎骨の骨折では歯のかみ合わせがずれてしまい、手術を要するケースもあります。

主な原因

顔面骨折は大半が転倒や交通事故などの外的要因によって顔に強い衝撃が加わることで起こります。
その他の原因として、労働災害やスポーツをしていたときの外傷、高いところからの落下や、喧嘩や暴力を受けたことが原因になることがあります。

頬骨の骨折理由として挙げられることが多いのは転倒や交通事故、暴力によるものです。
また、眼球が収まっている眼窩底骨の骨折では、野球やソフトボールなどをしている時にボールや肘、膝などが当たって起こることも多いです。

上顎骨や下顎骨骨折は特にあごや口元付近に強く衝撃が加わった際に生じます。

まれに顔面骨折に頭蓋内の外傷が関連するケースもあります。めまい、気分が悪い、吐き気などの症状が典型的で、その際には形成外科だけでなく脳神経外科の受診が必要です。

顔面骨折は同じ部位に再度衝撃が加わると、弱い力でも再び骨折してしまうリスクがあります。スポーツ選手などにも多く、これまでに顔面骨折の治療を行っている人は特に注意が必要です。

主な検査と診断

顔面骨折の検査や診断では画像診断が用いられますが、患者本人が原因となる状況を把握していることも多いため患者への問診によって症状を確認したり、周囲の人に状況を確認することである程度診断をすることができます。さらに詳しく骨折の部位や大きさを確認するための検査としてエックス線検査やCT検査が行われます。この結果によって確定診断が可能です。
小児の場合はより問診や検査にも慎重さが求められます。

顔面骨折の中でも眼窩骨折は、眼球に外傷があったり、視神経が圧迫されている場合など緊急手術が必要なケースもあります。
眼窩骨は眼球を囲う薄くデリケートな骨で、視力への影響も大きい骨と言えます。
そのため上記の画像検査に加えて眼球の動きも確認します。眼窩骨折以外で緊急手術が行われるケースはまれです。
事故による顔面骨折の場合は基本的に命に係わる怪我や疾患がないかを重視し、延命治療が優先されます。それらの治療が落ち着いた後に顔面骨折の治療を検討するのが一般的です。

主な治療方法

顔面骨折の治療は、緊急を要する眼窩底骨折における緊急手術を除いては待機手術が可能です。
主に噛み合わせのずれや視力に関わる部分を修正する機能面での修復と、見た目に関わる部分を修正する整容的な面での修復という二つの目的があります。
顔面の骨は骨折したまま放置すると約2週間で癒着が始まり、そのままの状態で固まります。そのため待機手術は2週間以内に行われます。

主な方法として皮膚を切開して骨の位置を整え、金属プレートや吸収性プレートを使用して骨を固定する観血的手術や、切開などをせずに骨の位置を戻す非観血的手術などがあります。吸収性プレートは入れたプレートを抜去する必要がなく、手術が1度で済む点がメリットです。骨折した部位によって金属プレートの使用が必要な場合もあります。

顎骨骨折では、上下の歯を噛み合わせた状態で一定期間固定する治療が行われます。アーチバー副子と呼ばれる金具や、MFスクリューと呼ばれるネジなどで顎を固定する方法です。