持続勃起症 ジゾクセイボッキショウ

初診に適した診療科目

持続勃起症はどんな病気?

陰茎持続勃起症は性的刺激に関係なく勃起が数時間にわたって持続するもので、典型的なものでは勃起は陰茎海綿体だけにみられ、亀頭部は勃起しません。
重症型である阻血性と軽症型である非阻血性に分類されますが、原因、治療方針とも両者で異なります。しかし、軽症型である非阻血性から重症型である阻血性に移行するケースもあり注意が必要です。

主な症状

性的刺激に関係ない数時間にわたる勃起が特徴ですが、阻血性では痛みを伴い勃起は強く、斑状の皮下出血を伴う場合もあります。非阻血性では勃起の程度は経度で痛みはほとんどありません。

主な原因

阻血性陰茎持続勃起症は、陰茎海綿体からの血液の流出障害が原因で起こります。多くは骨髄腫、白血病などの血液疾患ですが原因不明のこともあり、また非阻血性陰茎持続勃起症から移行するケースもあります。
非阻血性陰茎持続勃起症は陰茎に流入する血液量の異常な増加で起こり、会陰部外傷などで陰茎海綿体動脈の損傷が起こったときなどが古典的な原因ですが、近年、本疾患の25-40%は薬剤性といわれています。抗うつ薬、降圧薬、抗凝固薬、αアドレナリン阻害薬およびアルコール、コカイン、大麻などの薬物で発症し、ごく少数ですがバイアグラなどの勃起不全治療薬によるものも報告されています。なお、わが国では承認されていませんが勃起不全に対する陰茎海綿体注射薬による持続勃起症は海外で多く報告されています。薬剤性陰茎持続勃起症の約半数は向精神薬が原因です。薬剤が陰茎持続勃起症を引き起こすメカニズムは完全には解明されていませんが、αアドレナリン受容体の阻害による血管の拡張が持続勃起につながる可能性が指摘されています。

主な検査と診断

持続勃起症の診断は問診と診察でおこなわれますが、治療方針の決定には阻血性か非阻血性かの鑑別が重要となります。阻血性の持続勃起症の治療が遅れると、その後の陰茎線維化により勃起不全の原因となり救急に準じた処置が必要になるのに対し、非阻血性では経過観察と原因の除去が推奨されるからです。
この鑑別には、血流ドップラーエコーによる陰茎海綿体動脈の血流測定、陰茎海綿体穿刺による血液ガス分析が有用です。

主な治療方法

阻血性持続勃起症の治療で第一に試みられるのは陰茎海綿体血液の穿刺、吸引で洗浄を行う場合もあり、同時に交感神経刺激薬の注射を行います。一般にフェニレフリンの使用が推奨されます。3-5分おきに1時間繰り返し投与します。効果がなければ血流シャント術の準備をします。本剤の副作用として高血圧、頭痛、反射性徐脈、頻脈、不整脈などがみられることがあります。
内服治療は無効です。
非阻血性陰茎持続勃起症は自然治癒は半数以上にみられ、第一に推奨される処置は経過観察です。血管塞栓術などの処置は患者が希望した場合のみにおこなわれ、その際は自己凝血塊あるいは吸収性ゲルなどの非永久的塞栓物質が望ましいとされています。外科的処置は他の治療法が無効の場合に限り行われ、その際は血流ドップラーなどの監視下におこなわれます。非阻血性陰茎持続勃起症は再発が多くみられるため、原因の除去が必要です。また、非阻血性から阻血性に移行した場合は緊急の処置が必要のため注意深い観察が必要となります。なお海外で内服薬が非阻血性陰茎持続勃起症に有効であったとの報告がありますが国内では一般的ではありません。