移植片対宿主病 イショクヘンツイシュクシュビョウ

初診に適した診療科目

移植片対宿主病はどんな病気?

移植片対宿主病とは、移植に伴っておきる副作用のことで、臓器提供をした臓器が、レシピエント側の細胞を異物として認識して免疫攻撃してしまう症状のことをいいます。免疫抑制剤を使うことで初期段階であれば抑えることができますが慢性期になってからは抑えるための治療法が確立されていないので再度臓器移植を受けるしか方法がなくなってきてしまいます。

主な症状

移植片対宿主病は骨髄移植後や輸血後しばらく経つと、皮膚の表面に赤い斑点なような物が現われ、高熱が出てきます。これが急性の初期症状と言われています。急性の場合ですとその後は腹痛、下痢、嘔吐、肝臓機能障害、黄疸が現れます。慢性ですと、口内炎、発疹、角膜炎、食道の障害、大腸の障害、肝臓障害などがみられます。その後、衰弱や感染症、出血が酷くなり、約1ヶ月後には死に至る場合が多いです。

主な原因

移植片対宿主病の原因は、移植片の免疫作用により起こります。患者へ骨髄などを移植する場合、移植片にリンパ球が残っていた場合、リンパ球が持っている免疫力により患者の体を攻撃することになります。移植片のリンパ球が患者の体内で増殖してしまったために、強い拒絶反応が起きてその結果として体に対して大きな負担をかけることになります。

主な検査と診断

移植片対宿主病の検査方法について、第一には、患者の病歴及び輸血歴を詳細に追跡し、また、体の表面に現われる独特の赤斑点を確認することで、状況及び進行状態を確認します。次に血液検査及び骨髄液の検査を行い、血液中および骨髄内の白血球の増殖状況を調査し、急性なのか慢性なのか、また、免疫系の破損状態及び造血機能の活動状況、拒絶反応の程度を確認します。

主な治療方法

移植片対宿主病には、発症してから効果のある治療法はありません。なので移植する前の準備段階での予防が最も大切になってきます。輸血する血液のリンパ球がないことが求められるので、血液に放射線をあてて血液内のリンパ球を死滅させます。またはリンパ球をフィルターで取り除くこともできます。骨髄移植の場合、自分の骨髄を取り出して病気の造血細胞だけを取り除いて体内に戻す方法などがあります。