乾癬

初診に適した診療科目

乾癬はどんな病気?

乾癬とは慢性的な皮膚の病気です。
皮膚が厚く硬く盛り上がる浸潤・肥厚、角化した皮膚に炎症が生じ赤い発疹などができる紅斑、銀白色の分厚い角化した皮疹である鱗屑が特徴的な症状で、浸潤・肥厚や紅斑の上に鱗屑がくっつきぽろぽろとはがれます。
乾癬の皮膚は炎症を起こす細胞が集まった状態になり、毛細血管が拡張することで赤みを帯びた肌になります。
皮膚の細胞の増殖が過剰になっており、正常な皮膚と比べて10倍以上の速度で生まれ変わります。皮膚が厚く盛り上がり、鱗屑となって剥がれ落ちる症状は、これらの過剰に増殖した細胞によるものです。

かゆみや痛みを伴ったり、まれに発熱を引き起こす場合もあります。頭皮や生え際、ひじ、ひざなど外部の刺激を受けやすい部位に発症することが多い傾向があります。病態によって5つに分類され、最も多いとされているのは尋常性乾癬です。乾癬は近年増加している皮膚疾患で、男性に多いとされています。他の人に感染することはありません。

主な症状

乾癬は皮疹は大きさ、形がさまざまで、症状が進むと数が増え、いくつかの皮疹が一緒になったり、全身に及んだりすることがあります。
約半数(約5割)の方にかゆみがみられ、時に強いかゆみを生じる場合もあります。爪の変形や関節炎(関節の痛み、腫れ)を伴うこともあります。

また、乾癬は症状によって5種類に分けられます。
乾癬の約9割を占めるとされる尋常性乾癬は、初期症状として赤く小さな皮疹が現れ、大きくなると表面に鱗屑が付着します。
服との軽い摩擦で剥がれ落ち、かゆみを生じる場合もあります。一般的に乾癬という場合、尋常性乾癬を指していることが多いです。

小児に多く見られる滴状乾癬は1cmに満たない小さな角化した紅斑が特徴的です。膿疱性乾癬は膿うみを含んだ水疱が現れ、破れてびらんを形成するもので全身状態を悪くする可能性のある乾癬です。乾癬性紅皮症は全身の皮膚が真っ赤になって剥がれ落ちる紅皮症を発症する乾癬です。乾癬性関節炎は全身の関節に炎症が生じ、関節リウマチのような症状が特徴です。

主な原因

乾癬の原因は、乾癬になりやすい体質にその他の要因が加わることで発症するのではないかとされています。
乾癬は皮膚の生まれ変わりのサイクルに異常が生じ、新陳代謝が異常に活発になり、一番表層にある角質が積み重なってしまうことで発症します。
ターンオーバーの短縮がなぜ起こるのかに関しては原因ははっきりと分かっていません。

中でも関連が深いと考えられているのが免疫機能の異常です。免疫に異常をきたしやすい人に、ストレスなどによってさらに負荷がかかることで乾癬を発症する可能性があります。
免疫機能は、細菌やウイルスが体に侵入するのを防ぐ役割があります。この免疫機能に異常が生じると、細菌などの異物以外に自分自身の正常な細胞を攻撃してしまうことがあります。

またケガや感染症、皮膚に対する刺激、食生活、薬剤などの外的な要因が関わるケースや、糖尿病、高脂血症、肥満などの内的な要因が関わるケース、体質の遺伝によるケースもあるとされています。

主な検査と診断

乾癬の検査、診断には特別な検査を用いず、臨床的な症状や視診で診断が行われる場合が多いです。
これは乾癬が特徴的な皮疹を形成するため比較的診断がしやすいという理由が挙げられます。

皮疹の鱗屑をはがしてみると点状出血が生じます。これをアウスピッツ現象と呼び、皮疹のない部位にも刺激を与えると皮疹が誘発されるケブネル現象と合わせて乾癬の特徴的な所見と言えます。

他の疾患との見分けが難しい場合には皮疹の一部を切り取って顕微腸で確認する病理検査が行われます。
また、滴状乾癬では溶連菌感染の有無を検査する、膿疱性乾癬や乾癬性紅皮症では血液検査を行うなど、尋常性乾癬以外の場合には必要に応じて検査が行われることが多いです。また、乾癬性関節炎で皮疹が見られない場合、、リウマチの検査によって確認することもあります。

また、乾癬の重症度を測ることも大切で、皮疹の出ている面積から医師が重症度を評価したり、患者さん自身が皮疹の状態を評価する方法などがあります。

主な治療方法

乾癬の治療には塗り薬、内服薬、光線療法、注射療法などが重症度に応じて用いられます。
中でも最もよく用いられるのが塗り薬です。塗り薬では皮膚の細胞の異常な増殖を抑える活性型ビタミンD3や、免疫の働きを抑えて炎症を抑えるステロイドなどが代表的です。
また、皮疹に紫外線を照射しする光線療法なども一般的で、入院や外来で治療を受けることができます。

塗り薬では症状が抑えきれないような重症な場合には内服薬による治療も行われます。
内服薬では、ビタミンA誘導体や免疫抑制剤など、炎症を抑える薬や角質細胞の異常な増殖を抑える薬などがあります。

また、近年用いられるようになった注射療法では生物学的製剤が使用され、特に重症な患者さんに対して有効とされています。
塗り薬の効果が少ない場合や乾癬性関節炎にも用いられています。皮膚の新陳代謝を調整することができる方法ですが、日本皮膚科学会が承認した施設のみで治療が受けられます。

患者さんの日常生活に及ぼす影響を鑑みて治療法が選択されます。