リンパ浮腫 リンパフシュ

初診に適した診療科目

リンパ浮腫はどんな病気?

リンパ浮腫とはリンパ管の働きが何らかの原因で障害され、皮膚組織のある部分に体液が溜まってむくみが起こった状態を指します。
リンパ管は体の老廃物などの水分やタンパク質の成分を一日で約2〜3リットルも運ぶ、排水管の役割を果たしています。
リンパ浮腫は女性に圧倒的に多いのが特徴です。症状が現れる部位は腕や脚の場合がほとんどですが、脚のむくみに伴って、下腹部や外陰部にも発症することもあります。腕のむくみでは、どちらか片側だけにむくみが見られることも多いです。痛みや皮膚の色の変化はほとんどありませんが、むくみが急速に進んだ場合には、皮膚が張った感じやしびれを感じたり、強いむくみのために静脈がつぶされると皮膚が青紫色になることもあります。

リンパ浮腫は一度発症すると完治しずらく、進行しやすいという特徴もあります。むくみが出てている部分が重くなったり関節が曲げづらいなどの症状もあるため日常生活にも影響を及ぼします。早期発見、早期治療はもちろん適した対策で予防することも大切です。

主な症状

リンパ浮腫の代表的な症状は足や腕のむくみです。
初期段階ではほとんど目立たず、自覚症状がないことも多いです。
むくみは片方の足や腕だけに現れたり、両方に現れたり様々です。むくみのある部分は重さ、だるさを感じやすい点も特徴です。

リンパ浮腫が起きるとリンパ液の流れが悪くなり、通常よりもその部分の皮膚は弱くなってしまいます。
そのため感染症や潰瘍などを引き起こしやすい状態になり、小さな傷からでも感染が広がり、腕や足全体に炎症が広がることもあります。
例えば虫刺されから感染する蜂窩織炎などが代表的です。

また、リンパ液が溜まることにより皮膚の厚みが増すため皮膚を引っ張った際にシワが寄りにくくなる、静脈が見えにくくなるなども症状の一部です。さらに進行するとむくみが悪化して指でむくんだ部分を押すと跡が残ったり、皮膚が乾燥する、硬くなる、関節が動かしずらくなるなどの症状が現れます。痛みは感じないケースが多いものの、症状が急に進行した場合には痛みを伴うこともあります。

主な原因

リンパ浮腫の原因は一次性、二次性の二つに分けられています。
一次性の原因とは先天的な要因とされています。生まれつきリンパの機能が弱い方などに該当し、発症は子どもの頃から始まることもあれば成人になってから発症することもあります。
明確な発症要因が不明なケースもあります。

二次性の原因とは発症要因が明らかで、中でも多いのががんやがんの治療によるリンパ節の切除によるものです。
がんの治療のために放射線治療を行ったり、手術でリンパ節を取り除いたことでリンパ液が停滞することがあるためです。
リンパ浮腫は特に乳がんや子宮がん、卵巣がんなどに代表される婦人科系のがん手術の後に発症するケースが多いとされています。リンパ浮腫が女性に多いとされる理由はこのためです。

手術後すぐに発症するか、数年後に発症するかにも個人差があり、がん治療を受けた人が必ず発症するものではありません。その他にも二次性の原因として感染症、炎症性疾患、肥満、薬の影響なども挙げられます。

主な検査と診断

リンパ浮腫の検査、診断には視診と触診をはじめ、リンパの流れを調べる検査などが用いれらます。
視診と触診では、腕や足の太さを確認しながら左右差を見たり、皮膚の色や硬さに変がないかなどを丁寧に確認します。
問診でむくみが起こった経緯なども同時に確認し、多くの場合、これらの診察で判断する場合が多いです。

さらにリンパの流れが悪くなっている部位を正確に調べる必要がある場合にはリンパシンチグラフィー、ICG蛍光色素注入法などを用いてリンパ還流機能評価法が行われます。

むくみが気になっている人がセルフチェックをしたい場合には腕や足の太さを1か月に1度、同じ姿勢、同じ時間帯で計測し、その変化を確認するという方法もあります。その他にも腕時計などの跡が残りやすくなったり、下着の跡が残りやすくなるなども自身で気が付きやすいリンパ浮腫の症状です。リンパ浮腫は重症化すると生活に影響するケースもあります。気になる点がある方は早めに医療機関を受診するようにしましょう。

主な治療方法

リンパ浮腫の治療には薬などは用いず、圧迫療法、運動療法による治療が一般的です。
リンパ節の切除が原因の場合完治しにくいとされていますが、セルフケアも含めた治療を継続することで日常生活への影響を最小限にすることが目的です。

圧迫療法ではむくみのある部分をマッサージしたり、用手的リンパドレナーと呼ばれるリンパの滞りを改善する方法などがあります。
中でも頻繁に使用されるのが弾性のあるストッキングです。むくみの程度に合わせて弾性包帯・弾性スリーブなども使用されます。また、運動療法ではストッキングなどでむくみのある部分を軽く圧迫し、そのまま軽い運動を行うことで筋肉の力を利用してリンパの流れを改善することができます。

症状が重い場合には手術が検討されるケースもあります。リンパ液がたまってしまう部分に対し、静脈に直接リンパ液を戻せるようにするリンパ管静脈バイパス手術です。早期に行うほど完治の確率も高くなるとされています。