肝膿瘍 カンノウショウ

肝膿瘍はどんな病気?

肝膿瘍とは肝臓の中に膿が溜まった(膿腫)状態です。肝臓外から発生原因となる細菌や原虫などが肝臓内に進入して増殖することが原因で、その病原体によって、化膿性(細菌性)とアメーバ性に分けられます。
発熱、倦怠感、食欲不振などの症状がみられ、治療は抗生剤や膿を排出することでおこなわれます。

主な症状

肝膿瘍は、食欲不振、発熱、倦怠感、嘔吐、肋骨の下あたりの痛みなどの症状があらわれます。
主な症状は発熱で、悪寒とともに高熱が出ては下がるという状態を繰り返します。
またまれに黄疸の症状がみられることもあります。

主な原因

肝膿瘍の原因は、二つあります。一つは、赤痢アメーバ原虫によって起こる「アメーバ性」です。もう一つは、大腸菌などの細菌感染による「化膿性」です。
日本ではほとんどが「化膿性」の方です。「化膿性」の感染経路は、中垂炎などによる門脈系や、胆嚢(肝臓で作られた胆汁を預って、ためておく場所)の病気による胆道系などいくつかあり、膿瘍は一つだけのこともあれば、複数できることもあります。

主な検査と診断

肝膿瘍は特徴的な所見が少ないと考えられており、症状や血液検査から診断することが難しいといわれています。
発熱などの症状がありますが、他の病気を疑われることが多いのです。
そのため、検査方法はCTスキャンやエコー検査、最終的には超音波検査で患部を探して組織を採取し、培養してから顕微鏡で調べて特定するという方法がとられています。

主な治療方法

肝膿瘍は敗血症や播種性血管内凝固症候群に移行し危険な状態になるため、この病気を疑ったら早急に抗生剤治療を開始しなければなりません。
また体外に膿を出すため、経皮的に膿瘍穿刺ドレナージを行います。
抗生剤の全身投与をしても改善しない場合や、膿瘍が多発する場合は冠動脈内にカテーテルを入れ、抗生剤の動脈注射を行う治療法もあります。