前頭側頭型認知症 ゼントウソクトウガタニンチショウ

初診に適した診療科目

前頭側頭型認知症はどんな病気?

前頭側頭型認知症とは、記憶や言葉を司る前頭葉と側頭葉が萎縮することによって引き起こされる認知症の一種であり、比較的若い人でも罹患してしまうことが特徴として上げられています。認知症と大きく違うのは、記憶障害から始まるのではなく、言葉の意味そのものが、分からなくなってしまいます。症状が進むと、会話すらままならなくなってしまうのです。

主な症状

認知症には様々な種類が存在し、脳血管性からアルツハイマー型認知症などがあり、前頭葉に外部から強い衝撃を受けうっ血や陥没から起こる認知症もあります。前頭側頭型認知症は65歳以下の若年代の発症が多く、記憶は保たれるものの単語の意味が理解できなくなり、意味の理解はできないが使い方は分かるという症状が出ます。また、感情が不安定になり以前の性格や人格ではなくなるのが特徴でもあります。

主な原因

前頭側頭型認知症の原因は不明です。まだはっきりとはわかっていませんが、脳にタンパク質がたまるために引き起こされると言われています。脳にたまるタンパク質には「タウ」というものとそれ以外があると考えられていましたが、タウ以外のタンパク質の正体についてはわかっていませんでした。近年「TDP43」というタンパク質が患者の脳にたまっていることが新たに発見され、治療法の開発に繋がることを期待されています。

主な検査と診断

前頭側頭型認知症を診断するには、脳の前頭葉や側頭葉前部の委縮を確認するための、CTやMRIといった検査方法が用いられます。初期には委縮が確認できないことも多いため、放射性同位元素を静脈注射して検出器で測定するSPECTで脳の血流量を調べたり、陽電子を利用するPETを使って血流をはじめブドウ糖や酸素の消費量などを調べて、脳の代謝の低下があるかどうかを検査します。

主な治療方法

前頭側頭型認知症は、認知症の中でも圧倒的に患者数の少ない病気で、症例が少なく治療法が確立していないのが現状です。この病気は、うつ病や総合失調症のさいに現れる症状に似ているため、抗うつ薬(フルボキサミン)を投与することで症状を緩和させることができる場合があります。検証された効果のある治療薬はないので、患者一人一人に合わせて症状を和らげる薬物を投与しながら、介護中心のケアをすることが必要です。