悪性腫瘍 アクセイシュヨウ

初診に適した診療科目

悪性腫瘍はどんな病気?

人の体には時に腫瘍(できもの)が出来ます。皮膚の表面にも現れますが、殆どが目に見えない体内に発生します。これは良性と悪性に分けられており(中間の性質の腫瘍もあります)、悪性の場合はがんと呼ばれます。大腸ポリープのような良性の腫瘍を長年放置していて悪性の大腸がんに変化する事もあります。多くは目に見えない部分に発生し、最初のうちは目立った症状が出ないことも多いので、定期的な検査が重要になってきます。がんでは当然ですが早期発見が重要なのです。

主な症状

悪性腫瘍には、身体にできたできものや腫れを目視や触診で自分でもわかるような、何らかの塊を形成する乳がんや甲状腺がんなどと、腫瘍ができたことによって血管の組織がもろくなり、出血しやすい状態になるものがあります。大腸がんなら下痢や便秘を繰り返したり、肝臓や膵臓のがんなら黄疸がでたり、肺がんなら血痰が、子宮がんなら不正出血や極度の貧血などの症状があらわれます。

主な原因

悪性腫瘍の原因は、腫瘍ができる部位によって変わってきます。肺であれば喫煙が大きな原因の一つですし、胃がんであればピロリ菌感染によるものがほとんどです。また女性の子宮頸がんの場合には、ヒトパピローマウイルスが原因であると分かってきたので、予防するためにワクチンを接種することが推奨され、公費負担の予防接種にもなっています。その他の悪性腫瘍(がん)にも何らかの原因が疑われるものもありますし、全く原因が分からないものもありますので、今後の研究の成果が待たれます。

主な検査と診断

さまざまながんの検査のうち、比較的安全で効果的なものは以下の通りです。
胃がん・・・胃部X線検査、胃内視鏡検査(胃カメラ)、ピロリ菌検査
子宮頸がん・・・子宮頸部細胞診検査、HPV(ヒトパピローマウイルス)検査
肺がん・・・胸部X線検査、喀痰細胞診検査
乳がん・・・マンモグラフィー検査、乳房超音波検査
大腸がん・・・便潜血検査、大腸内視鏡検査
これらのものはほとんどの自治体で無料または安価に受けられますので、対象年齢の方はまずこれらの検査をスケジュール通りお受けになることを強くお勧めします。
他にも、男性の前立腺がんを調べる血液によるPSA検査、肺がんをより精密に調べるCT検査、全身のがんを一度に調べるPET-CT検査などがありますが、それぞれ一長一短がありますので、まずはかかりつけの先生にご相談されることをお勧めします。なお、血液でがんを調べるという腫瘍マーカーは、がん患者さんに対してその進行具合や治療効果を測定するのが本来の目的ですので、早期発見にはほとんど効果がないことにご注意ください。
悪性腫瘍に関しては何か症状があれば振り分けてもらうために内科へご受診ください。症状はないが、がんが心配で全身の検査を受けておきたい場合は「PET-CT検査」を受けてください。

主な治療方法

悪性腫瘍の治療では、がんの種類によってさまざまな方法があります。外科的には、手術を行って患部を切り取るということが行われています。また化学療法では古典的な抗がん剤やホルモン剤、抗体医薬、分子標的薬など様々な薬剤によってがん細胞を死滅させたり増殖を防ごうという試みがなされていています。放射線療法では放射線によりがん細胞を死滅させるというものです。放射線療法の中にも、陽子線治療、重粒子線治療などの最新の治療が生まれてきています。そして免疫療法では、体内にがん細胞への免疫をつくってそれによって自然に回復できるようにする試みもなされています。