月経異常はどんな病気?

月経異常とは月経周期の長さや出血持続時間、出血量などが、正常な月経の範囲ではない状態を言います。
正常の月経周期は25~38日とされており、日数は3~7日程度が一般的です。
また、月経時の血液量は20~140mlが正常値とされています。

月経異常の中には周期が短く24日以内に次の月経が始まってしまう頻発月経や、逆に周期が長く39日以上たっても次の月経が始まらない稀発月経、3ヵ月以上月経がない無月経などの種類があります。その他にも月経の出血や症状が重すぎたり軽すぎる場合や、月経の期間が長かったり周期が不規則な場合も月経異常です。
無月経の中には18歳を超えても月経が始まらない原発性無月経、無理なダイエットなどによる続発性無月経があります。

ストレスや生活リズムの乱れ、疲労などが月経異常の原因となりますが、閉経の前にも月経不順が起きることがあります。最終月経から1年以上月経がこなくなった状態を閉経と言います。

月経異常の主な症状は?

月経異常は、症状によって大きく3つにわけられます。
1つは、月経周期、期間、出血量の異常です。周期が短く月に2回月経が来る、周期が長く遅れがちになる、月経が短期間で終わってしまう、逆に8日以上続くなどの症状です。
出血量が多すぎたり少なすぎたりする症状は月経困難症とも関わります。

 2つめはイライラやむくみ、乳房痛、頭痛、ひどい月経痛や吐き気、便秘、腰痛などの症状がみられる、月経にともなう障害です。
これらのうちいくつかは子宮筋腫や子宮内膜症にもみられ、卵巣や子宮の器質的疾患や障害により起こりますが、ほとんどがホルモンのアンバランスが原因です。 

そして、3つめは思春期になっても初経がない原発性無月経や、定期的にあった月経が突然なくなった場合などです。
満18歳を超えても初経がなければ、生殖器官においてなにかしらの障害があると考えられるので、産婦人科の受診が必要です。
無月経、月経不順は不妊の一因となることも少なくありません。

月経異常の主な原因は?

月経異常はホルモンバランスの乱れが1番の原因となります。
疲労やストレス、生活習慣の乱れなどによってホルモンバランスが乱れ、ホルモン分泌の異常が生じます。
これによって機能性子宮出血、黄体機能不全症、多嚢胞性卵巣症候群などの病気を引き起こすこともあります。

適齢になっても生理が始まらない原発性無月経の原因としては染色体異常、腟や子宮の先天異常、ホルモン異常などが代表的です。
一方、突然生理が止まってしまう続発性無月経は無理なダイエット、ストレスや環境の変化、妊娠、授乳、肥満などが原因となることが多く若い世代にも増えてきています。
脳下垂体に腫瘍ができたり、早期の閉経によるものや、子宮筋腫、子宮内膜症などの疾患が原因となる場合もあります。

異常な不正出血も月経異常の症状の一つですが多くの場合深刻な症状ではありませんが、まれに疾患が原因となっているケースもあります。
気になる場合には早期に医療機関を受診することが大切です。

月経異常の主な検査と診断方法は?

月経異常は原因がストレスや疲労による場合も多く、問診によって生活習慣や既往歴、家族歴などを細かく確認することが重要です。
加えて内診によって子宮の状態を確認し、子宮内膜症など他に異常がないかも見ていきます。
症状に合わせて経口避妊薬やホルモン剤を使用し、月経の周期を整えていく治療法が一般的です。

無月経の場合には診断の前に妊娠の可能性がないかを調べたうえで、問診を行います。18歳以上で月経を迎えたことがなければ原発性無月経の原因となる疾患がないかを調べます。
月経の経験があり、現在無月経の状態であれば続発性無月経となり、内診も併せて何が原因となっているかを調べます。必要があれば子宮がん検診なども行うことがあります。

また月経異常の診断には基礎体温が診断の基準となります。
基礎体温は月経周期のパターンを把握したり、排卵がなされているかなどを確認するために重要なデータとなるため、日ごろから記録しておくとよいでしょう。

月経異常の主な治療方法は?

月経異常の治療には妊娠目的の場合、クロミフェン療法による排卵誘発を行うのが一般的です。
月経不順や続発性無月経の場合に用いられ、排卵が促すことで月経周期が整えていく治療法です。
妊娠を第一に希望しない場合にはゲスターゲンを周期的に投与し、月経周期を整えていく方法が用いられます。
この方法で月経が再開しない場合にはエストロゲンやゲスターゲンなどの女性ホルモンを周期的に内服するカウフマン療法が採用されることもあります。
また、男性ホルモンの過多によるニキビや多毛の治療には経口避妊薬が用いられます。

原発性無月経で処女膜や腟が閉鎖している場合には手術での治療、ホルモン系の異常にはホルモン療法を行います。染色体異常の場合には根治が望めないケースもあり、カウンセリングなどでケアを行います。

月経不順、無月経は女性ホルモンの乱れから起こります。
ストレスや疲労をためずに生活リズムや食生活を整えることはもちろん、子宮がん検診を受けたり、気になることがある際には早めに受診をすることも大切です。

月経異常の初診に適した診療科目