膝離断性骨軟骨炎はどんな病気?
膝離断性骨軟骨炎とは、膝関節や足関節の軟骨が剥がれ落ちた状態を指します。軟骨片の裏に薄く骨がついた状態を特に膝離断性骨軟骨炎と呼び、骨がついていない状態なら軟骨損傷と呼ばれます。
損傷部位の軟骨がはがれて欠損するとスムースな関節運動が障害されます。
10歳代の成長期の小中学生に発症が多く、男女比では約2:1と、男性に多い傾向があります。
膝関節野中でも大腿骨の内側に発症するケースが約8割、次いで大腿骨の外側、まれな例では膝蓋骨で見られるケースもあります。
生まれつき半月が大きく分厚い特徴がある円板状半月と合併しているケースもよく見られます。
初期の段階ではでは軟骨片は遊離せず、運動後の不快感や鈍痛の他には目立った症状は現れません。
関節軟骨の表面に亀裂や変性が生じると疼痛も強く現れます。さらに骨軟骨片が遊離すると引っかかり感やズレ感を生じることが多いです。
大きな骨軟骨片が遊離している場合、膝の中で異音がする場合があります。
膝離断性骨軟骨炎の主な症状は?
膝離断性骨軟骨炎を発症すると、初期の段階では膝に運動後の不快感や鈍痛などが症状として現れますが、日常生活への影響は少なく放置されることも多いです。鈍痛を感じる部位もあいまいで、明らかな圧痛点が分からないこともあります。
軟骨片は遊離する段階になると、膝の曲げ伸ばしをした際に膝の引っかかりを感じたり、膝の可動域制限などが現れるようになります。
多くはこの段階で異変を感じて医療機関を受診し、発見に至ります。
症状が進行すると痛みが強くなり関節に水がたまることで腫れなどもみられるようになります。
初期の段階ではスポーツ活動などを行う際に軽い症状が現れる程度で日常生活には支障を来さない例が多いですが、進行すればロッキングなど明らかに生活に影響する症状が現れるようになります。
ロッキングは骨軟骨片が関節に挟まり、膝が動かなくなる状態です。
遊離して変化が進んだ軟骨は元に戻すことができなくなるため早期に発見して治療を開始することが重要です。
膝離断性骨軟骨炎の主な原因は?
膝離断性骨軟骨炎は外傷などによって軟骨の下の骨にかかる負荷が原因で発症します。スポーツなどにより繰り返されるストレスなども原因と言えます。
血流障害を生じて軟骨下の骨が壊死すると、骨軟骨片が分離し始めます。進行すると関節内に軟骨片が遊離したり、関節に挟まることでさまざまな症状を引き起こします。
成長期のスポーツ選手などによく見られる疾患です。特に幼少期からスポーツ活動に参加している子供や、活動性の高い若年者に発症が多い傾向があります。
そのため膝離断性骨軟骨炎は繰り返される微小な外力が発症に大きく影響していると考えられています。
ただ現在のとこと発症に至るメカニズムは解明されていません。
発症頻度で見ると人口10万人に対して約10~30人に発症がみられ、好発年齢は平均すると13歳とされています。
早期にスポーツへ参加する子供が増えていることや、診断技術が向上したことによって好発年齢は近年では若年化傾向にあります。
膝離断性骨軟骨炎の主な検査と診断方法は?
膝離断性骨軟骨炎の診断には、問診、診察、レントゲン検査、MRI検査、CT検査などが行われます。問診では運動習慣や自覚症状などについて確認し、診察で膝に現れる所見を確認します。
初期の段階では通常行われるレントゲン撮影ではその特徴が写りにくいとされています。
そのため膝を正面、側面、軸位の3方向から撮影したり、ローゼンバーグ法と呼ばれる方法を用いて関節を屈曲し後方から撮影することも多いです。
骨軟骨片が分離、遊離してくる段階になるとレントゲン検査でも異常所見が認められます。
また確定診断に有用とされているのがMRI検査です。MRI検査では軟骨層の欠損が確認でき、病変部の大きさや状態、膝の不安定性の評価も行うことができます。
関節鏡も用いてより病変部を詳細に把握することができるため、治療方針の決定にもMRI検査の結果が反映されます。
CT検査は主に骨組織の評価を目的に行われ、治癒過程の評価にも行われる場合が多いです。
膝離断性骨軟骨炎の主な治療方法は?
膝離断性骨軟骨炎の治療は、症状や年齢などを考慮し保存療法、手術による治療が選択されます。身長が伸びている発育期の場合、骨軟骨片が安定していれば膝関節の安静を保ちながら免荷歩行を行うなど、保存的治療を選択します。X線検査やMRI検査によって経過観察を行い、回復が見られれば徐々に活動を通常の生活に戻していきます。
軟骨下骨の骨癒合がみられる場合や発育期以降では、病変部の数カ所に穴を開けて出血させることで、治癒機転を促進させる方法が行われることもあります。
これらの保存療法で改善が認められない場合や、骨軟骨片が剥離し遊離している場合には手術が行われます。
整復固定術と呼ばれる方法は一般的で、不安定な骨軟骨片を骨釘やピンなどで固定するものです。
遊離骨軟骨片や母床の欠損が小さい場合には遊離している骨軟骨片の摘出のみを行う方法もあります。
また状態が悪く骨癒合が見込めない場合は、他の部位から採取した自家骨軟骨片を移植するモザイク手術と呼ばれる方法もあります。
膝離断性骨軟骨炎の初診に適した診療科目
- 整形外科 ( 整形外科の病院一覧 )