心的外傷後ストレス障害 シンテキガイショウゴストレスショウガイ

初診に適した診療科目

心的外傷後ストレス障害はどんな病気?

心的外傷後ストレス障害とは、PTSDとも呼ばれるもので何らかの精神的に大きな衝撃的・脅威的な出来事(トラウマ体験)に遭遇したことで、様々な精神症状を引き起こす疾患のことです。また直接体験するだけでなく、目撃したり身近な人が体験したことに直面した場合なども含まれます。

主な症状

心的外傷後ストレス障害の症状は、主に4つあります。1つ目は侵入(再体験)回想といわれるフラッシュバックのことです。あたかもトラウマ体験の場面が今目の前に展開する症状で、夢の中でもたびたび起こります。発達障害の特にASD(自閉スペクトラム症)の方については、小さなトラウマでもこのフラッシュバックは頻発することがあります。また2つ目は回避といって、トラウマを想起させるものを避ける傾向がでてきます。対人恐怖が強くなり自宅に引きこもる方もおられます。3つ目は認知や気分の異常であり、世の中には悪い人しかいないといった偏った信念をもってしまったり、慢性的な抑うつ状態に陥ることも多いです。4つ目は過覚醒症状であり、常に交感神経が緊張してしまい不眠になり疲弊してしまう方が多いです。常に緊急事態であると感じてしまうのです。また人格が解離したり、身体がふわふわしたり、突然記憶が飛んだりといった解離症状を合併することも多いです。アルコールや薬物の依存になることもあります。

主な原因

こころに大きな衝撃を与える犯罪被害、暴力、自然災害、事故などがありますが、長期間にわたるDVやハラスメント、いじめなども原因になります。

主な検査と診断

基本的には問診が中心となりフラッシュバックなどの症状の有無の確認をしていきます。問診中に過去のトラウマを想起しフラッシュバックや不快な思いをすることがあるので慎重さが大切です。あるいは強いトラウマ場面でなく比較的想起しやすいトラウマ記憶から聴取していくことも必要になります。

主な治療方法

心的外傷後ストレス障害の治療では、原因となるトラウマを忘れ去るのではなく、断片的になっている記憶を繋ぎ合わせトラウマを想起してもあまり反応しなくなることを治療の目標とします。認知行動療法などの心理療法も有効とされておりますが、「トラウマは身体が記憶している」という考えの下、EMDR、SE(somatic experience)、BCT(body connect therapy)などの身体的なアプローチによる心理療法が効果を発揮することもあります。薬物療法ではSSRIなどが有効とされております。