今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!今回は『「気管支炎」とは?』をご紹介させて頂きます。

気管支炎とは、下気道(気管、気管支、細気管支、終末細気管支)に炎症を起こすことです。咽頭炎や喉頭炎を起こしながら、菌がさらに奥の気管支に行くと「気管支炎」を生じます。
気管支炎は、数日から数週間で改善する「急性気管支炎」と、3カ月以上咳や痰が続く「慢性気管支炎」に分けられます。原因は、細菌やウィルスなどの感染症や、アレルギー、大気汚染、喫煙、肺の老化などが挙げられます。
気管支炎はさまざまな要因から引き起こされますが、約8割はウィルスが原因です。原因となるウィルスが、アデノウィルス、ライノウイルス、コロナウィルス、RSウィルスなどです。これらは風邪の原因にもなるウィルスです。

「急性気管支炎」と「慢性気管支炎」の違いは?

急性気管支炎と慢性気管支炎は、どちらも咳が主体の病気です。急性気管支炎は、風邪を引いた時など、5日以上にわたり咳が続いている場合に疑われます。
慢性気管支炎とは、原因不明の咳や痰が3カ月以上続き、さらにその状態が2年以上継続している症状をさします。レントゲンやあらゆる検査を行っても、はっきりとした原因がないときに慢性気管支炎と診断されます。

どのような症状が出るの?

気管支の壁には、咳をして異物を外に出す咳受容体があります。このため、異物の侵入で気管支壁が刺激されると、迷走神経を介して咳中枢が反応し、気管支筋が刺激されて咳が出ます。
気管支炎では、白血球の数が増加します。また、血液分画では、好中球が増加します。白血球は、炎症が無ければ通常は9000/以下ですが、急性気管支炎では10000前後になることが多いです。
CRPという炎症反応を見る基準値は、普通は0.3以下ですが、1.0~3.0程度に上がることもあります。これらの値は、炎症が強くなればさらに高くなります。
しかし、肺炎とは異なるので胸部X線写真では、特別な異常は見られません。急性気管支炎では、咳のほかに、鼻水、頭痛、発熱、咳による腹痛などが見られることがあります。


痰が見られる場合もありますが、必ずしも痰が出るわけではありません。通常、急性気管支炎の痰は白色、または透明です。しかし、黄色になった場合は細菌感染があったと考えられます。
慢性気管支炎の症状は、長く続く咳と痰です。咳や痰が3カ月以上ずっと続いている、もしくは、そのような症状が2年以上にわたって出現している状態です。
慢性気管支炎の直接の原因にはならないような細菌でも、炎症の箇所に付着することで痰が緑や黄色になることがあります。
また、慢性気管支炎の患者さんの中には、大量の痰が出る人もいます。1日に200cc~300ccの痰が出て呼吸困難になることもあります。 

治療法は?

気管支炎の治療は、原因によってことなります。根本的な治療法はありません。
「ウィルス性気管支炎」の場合は、症状によって咳止めなどを用いて症状を緩和します。インフルエンザウィルスが原因の場合は、抗インフルエンザ薬が使用されます。抗生物質は無効です。
「細菌感染による気管支炎」の場合は、抗生物質の効果が期待できます。原因菌に合わせた抗生剤が使用されます。
「アレルギー性気管支炎」では、原因となるアレルゲンを特定して排除することが重要です。場合によっては、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)が使用されます。
「びまん性汎細気管支炎」の場合は、マクロライド系の抗生物質を数年間服用します。この場合、抗生剤は少量で使用します。


急性気管支炎では、抗生物質を使用することは少ないです。症状に応じて、解熱剤や咳止め、痰を出しやすくする薬を使用します。
急性気管支炎ならば、基本的には水分摂取と安静を心がければ軽快します。
慢性気管支炎の場合は、罹患するのは殆どが喫煙者です。そのため、禁煙を勧め、気管支をきれいにすることから始めます。必要に応じて、気管支拡張剤やステロイド剤を用います。

まとめと対策

気管支炎のほとんどはウィルス性のため、予防では飛沫感染や接触感染に注意しましょう。うがいや手洗い、アルコール消毒などが予防に効果的です。
また、あらかじめ肺炎球菌ワクチンを接種しておくことで、気管支炎や肺炎のリスクも軽減できます。