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今回は『疲れが抜けない人は必読!「成長ホルモン」を増やすには?』をご紹介させて頂きます。

子どもの成長を促す「成長ホルモン」とは

私たち人間の体には、およそ100種類のホルモンが存在しています。ホルモンは、体が最適な状態を保つよう、さまざまな働きを調節する化学物質です。体の調子に合わせて、必要な時期に、必要な種類のホルモンが、必要な分量だけ、脳下垂体(のうかすいたい)、甲状腺、すい臓、など「内分泌腺」という器官で作られ、分泌されています。そして血流に乗って、体の臓器や組織などに届けられています。

脳下垂体で作られるホルモンのなかでも、
(1)骨を伸ばす
(2)筋肉を強くする
(3)代謝をよくする
など、子どもの成長に欠かせないホルモンが「成長ホルモン(GH)」という物質です。成長期にもっとも多く分泌されるホルモンで、通称「身長を伸ばすホルモン」とも呼ばれています。

大人になっても「大事な」ホルモン

成長ホルモンは、その名前のとおり、「子どもの成長を促すホルモン」としてよく知られていますが、大人になっても大事な物質であることは変わりありません。ところが、大人になると、成長ホルモンの分泌量は、少しずつ低下していきます。

分泌のピークは思春期の後半(だいたい18歳くらい)です。20歳を過ぎたあたりから徐々に減りはじめていきます。そして、30~40歳代ではピーク時の約50%にまで減少し、さらに60歳代では約30%にまで分泌量が低下してしまいます。

分泌量が増えると「何が変わる」のか?

しかし、成長ホルモンは、子どもから大人まで、幅広い年齢に必要なホルモンです。大人になってからも、
(1)体にある物質をエネルギー変える
(2)疲労を回復させる
(3)体の調子を整える
(4)意欲や活力を生み出す
(5)若さを保つ
(6)精神的な安定をサポートする
、などに役立ちます。

また、成長ホルモンは、血圧を正常に保つ、血中のコレステロールを低下させる、脂肪を分解させる、などの働きにも強い影響を与えるため、「生活習慣病」や「成人病」の予防にも大きく役立ちます。

成長ホルモンの「低下」、大丈夫ですか?

一方で、成長ホルモンが著しく低下すると、体の代謝機能が悪くなります。そのため日常生活では、次のような症状が、以前より感じられるようになるでしょう。頻繁に起こるようなら、成長ホルモンの低下が原因かもしれません。

・疲れやすくなる
・疲労やストレスが抜けない
・怒りやすくイライラする
・落ち込むことが多い
・感情がコントロールしにくい
・記憶力が低下している
・集中力が続かない
・仕事や趣味にやる気がしない

また、成長ホルモンの低下で、体のなかでは悪玉コレステロールが増加するため、「動脈硬化」、「心筋梗塞」、「狭心症」へのリスクが高まります。さらに、内臓脂肪が増えやすくなり、「肥満症」、「糖尿病」の危険も発生することになります。

増やすには「十分な睡眠」が大事

成長ホルモンは、日常生活の少しの取り組みで増やすことができます。取り組みとは
(1)十分な睡眠をとる
(2)軽い運動を習慣にする
(3)間食を控える
の3つです。

昔から「寝る子は育つ」という言葉があるとおり、成長ホルモンは「十分な睡眠」によって作られます。眠ってすぐにやって来る「ノンレム睡眠(脳は完全に休んでいる状態)」の時間帯に多く分泌されます。そこには、リラックスした入眠(寝入り)が大切です。寝るまえに、スマートフォンの操作は控えましょう。心地よい入眠を促す「メラトニン」というホルモンの分泌が妨げられ、ひいては成長ホルモンの分泌にも影響がおよぶためです。

「軽い運動」と「空腹時」がポイント

日常的な「軽い運動」は、体に乳酸を作ります。そして、乳酸が脳のエネルギーとなって脳下垂体を刺激し、成長ホルモンの分泌を促します。ゆるめのストレッチや簡単なヨガなどを、決めた時間に適度に行うと効果的です。

また、成長ホルモンは「空腹時」にも分泌されやすい特徴があります。空腹時に胃や腸などから分泌される「グレリン(空腹ホルモンとも呼ばれます)」というホルモンは、強力に成長ホルモンの分泌を促進します。そのため、食事と食事のあいだには、きちんと「空腹の時間」を作ることが大事です。少しお腹が減ったなぁと言って間食をすると、グレリンの分泌は低下します。食後、最低2時間は食べ物の摂取は控えましょう。

疲労回復や若返りなど、成長ホルモンの増加は、大人にとってもメリットがたくさんあります。睡眠、運動、空腹の3つのキーワードを意識して、生活の改善をはかると、低下しがちな成長ホルモンは増えることになるでしょう。