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今回は『まだ話せない赤ちゃんと会話する「ベビーサイン」とは?』をご紹介させて頂きます。

「サインを使って」赤ちゃんと会話する?

まだ言葉を話せない赤ちゃんと、「楽しくコミュニケーションができる」という方法があるといいます。その名も「ベビーサイン」という方法です。ベビーサインは、1990年代からアメリカで広まった育児法です。

約60〜70のサインを使って、赤ちゃんが楽しいと思っていること、不快と思っていること、どうしてほしいのか、何を欲しがっているのか、などを知ることができるそうです。ベビーサインは、2000年以降になって日本にも紹介され、書籍はDVDなどを中心に、少しずつその話題が知られるようになっています。そして普及のために、現在ではベビーサイン教室が、各地で開催されています。

なぜ、アメリカやイギリスで広まったのか?

ベビーサインは、アメリカのジョセフ・ガーシア博士、リンダ・アクレドロ博士、スーザン・グッドウィン博士によって紹介された、赤ちゃんとのコミュニケーション・ツールです。言葉を話すまえの赤ちゃんにこちらの意志をお知らせするだけでなく、自己表現や意思表示を赤ちゃん自らジェスチャーによって、ママやパパに伝えることができるようです。

その歴史は1980年前半にさかのぼります。ジョセフ・ガーシア博士は、あるとき、耳の不自由な友人夫婦が、耳の聞こえる赤ちゃんと手話でコミュニケーションをとっている様子を見て驚きます。赤ちゃんはそのとき1歳未満で、まだ言葉を発する年齢になかったからです。

さらに、リンダ・アクレドロ博士も、1980年代中ごろ、1歳の娘がジェスチャーを使って自分の望みを伝えようとしていることに気づき、スーザン・グッドウィン博士とともに、乳幼児の自己表現行動を研究しはじめます。

その後、博士らによって研究の成果は、本にまとめられます。本が出版されたことで、ベビーサインはアメリカやイギリスで多くの家庭に広まりました。普及した背景には、ベビーサインを使って育児をした赤ちゃんの多くは「知能指数(IQ)が高い傾向がある」という研究データが影響していると考えられます。その他にも、親子の絆が深まる、表現力が豊かになる、言語能力が高まる、などのメリットが挙げられています。

サインを使えば「育児ストレス」が軽減される

ベビーサインは、簡単なジェスチャーを使って、まだ言葉を発しない赤ちゃんと意思の疎通をはかります。赤ちゃんの気持ちや意見を理解することで、ママやパパの育児ストレスが軽減されるといわれています。

外出先や夜中に突然グズってしまったときでも、ベビーサインを使えば、お腹が減っているのか、眠たいのか、おむつを替えてほしいのか、寒いのか、暑いのか、など赤ちゃんが望んでいることを、赤ちゃんがジェスチャーで教えてくれるのです。「どうしたの?」、「何がほしいの?」と理由が分からずにオロオロして困ることも少なくなることでしょう。

「どの時期」から始めたらいいの?

どこ国でも人間の言葉は、口・舌・喉などの筋肉を巧みに動かすため、そこがまだ成熟していない時期の赤ちゃんには、発語はなかなか難しいものです。しかし、指の動きは、赤ちゃんでも比較的早い段階から、自分の思うとおりに動かすことができるため、シンプルなサインであれば表現が可能です。

たとえば、「さようなら」や「バイバイ」を意味する手を降る行為は、多くの赤ちゃんが早くから行います。これは、ママやパパの行為を真似して行うサインの一種です。こういった行為をさらに発展されたものがベビーサインと考えてよいでしょう。

ベビーサインを始めるタイミングとしては、約6カ月~18ヶ月(1歳半)が適した時期といわれています。
(1)首がすわり
(2)ひとりでお座りができ
(3)周囲に興味を持ち始めて
(4)指さしの様子が見られた頃が、スタートの目安です。

「ミルクがもっとほしい」を教えてくれる

ベビーサインは、ママやパパがお話といっしょに簡単なサインを見せてあげることで、次第に赤ちゃんがその合図を覚えて、真似をする、というものです。「もう寝ましょうね」というときに、いつも「おやすみ」のサインを出して伝えてあげます。すると、「寝る」、「眠い」などの意志を、赤ちゃんからも発するようになります。

簡単な例でいうと、両手の平を合わせて「ごちそうさま」のサインを見せながら、「ミルクは、もうおしまいね」と伝えます。毎回同じ状況で、同じサインを見せて言葉を発すると、次第に「お腹がいっぱい」のタイミングで、赤ちゃんが「ごちそうさま」のサインを見せてくれるのです。

ベビーサインは、犬、猫などの「単語」から、ミルクがほしい、もっとちょうだい、もうおしまい、おむつを替えて、痛いよ、眠たいよ、などの「動作」や「行動」にまで及びます。もっと詳しく知りたい方は、「ベビーサイン」で検索して、本を読んだり、一般社団法人・日本ベビーサイン協会(https://www.babysigns.jp/)が主催するイベントや教室に通ってみたりするのがよいでしょう。赤ちゃんがサインを覚えて、さらに使ってくれるまでには、個人差があります。あせらずに、気長に取り組んでみましょう。