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今回は『「新生児マススクリーニング検査」は、何を調べるの?』をご紹介させて頂きます。

「生後5日前後」の赤ちゃんが受ける検査

新生児マススクリーニング検査は、生後4~7日目の赤ちゃんを対象に、「内分泌(ホルモン)の異常」と「先天的な代謝異常」を早期に発見するための検査です。検査料はかかりません。公費負担で、すべての赤ちゃんが検査を受けることができます。

検査を受けることで、遺伝などに生まれつきの病気は、早期に発見され、早い治療が開始できます。すると、「知能障がい」や「発育障がい」などの病気を予防できる可能性が高くなり、また何らかの異常が見つかったときでも、できるだけ症状を軽減するような適切な治療が迅速に行えるなど、赤ちゃんの今後の健やかな成長に大きな影響を与えることでしょう。

赤ちゃんの「かかと」から採血

新生児マススクリーニング検査は、日本では1977年(昭和52年)に開始され、現在では、日本で生まれた赤ちゃんのほぼ100%が検査を受けています。もちろん、自宅分娩でも医療機関などで検査を受けることができます。

赤ちゃんの足の裏(かかと)から、血液を少量(数滴)採取して、ろ紙に染み込ませたものを検査施設(臨床検査センターなど)で検査します。検査は公費負担のため費用はかかりませんが、採血については自己負担で、採血を行った医療機関へ数千円の支払いが発生します。一般的には、産科医療機関で、分娩費用と合わせて支払うケースが多いようです。

検査結果は、約2週間で産科医療機関に届きます。結果は3つの判定があります。
(1)正常
(2)再検査が必要
(3)精密検査が必要
正常判定の場合は、1ヶ月検診で報告されることが多いようです。再検査と精密検査が必要という判定では、医療機関から直接連絡が入ります。

「ホルモン」と「代謝」の異常を調べる

ホルモンは、体が常に正常な状態を保つよう調整する役目があります。体に異常が見られたときは、脳下垂体、甲状腺、副腎などの器官から分泌され、必要な臓器にそれぞれ配られることで体を元の状態に戻そうとします。ホルモンの異常(分泌が多すぎる、不足するなど)が起こると、体の調子を整えることが難しくなり、バランスを失ってさまざまな病気にかかりやすくなります。

一方、代謝とは、摂取した食べ物が酵素によって、体に適した物質に分解され、消化吸収されるという一連の働きをいいます。代謝の働きに異常があると、必要な物質が作られない、体内の物質が偏るなどにより、発育不良や知的障がいなどが起こる可能性が生じます。

検査対象となる「26の病気」とは?

新生児マススクリーニング検査では、検査対象となる病気は、自治体によって多少異なりますが、最近では、ホルモンの異常による病気(2個)と、代謝の異常による病気(24個)を対象にした検査が行われます。

<内分泌>
・先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)
・先天性副腎過形成症

<アミノ酸代謝異常症>
・フェニルケトン尿症
・メープルシロップ尿症
・ホモシスチン尿症
・シトルリン血症
・アルギニノコハク酸尿症
・シトリン欠損症

<有機酸代謝異常症>
・メチルマロン酸血症
・プロピオン酸血症
・イソ吉草酸血症
・メチルクロトニルグリシン尿症
・3-ヒドロキシ3-メチルグルタル酸(HMG)尿症
・マルチプルカルボキシラーゼ欠損症
・グルタル酸尿症1型
・β-ケトチオラーゼ欠損症
・メチルグルタコン酸尿症

<脂肪酸代謝異常症>
・中鎖アシルCoA脱水素酵素(MCAD)欠損症
・極長鎖アシルCoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症
・長鎖-3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素(LCHAD)欠損症
・カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT1)欠損症
・カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ2(CPT2)欠損症
・カルニチンアシルカルニチントランスロカーゼ欠損症
・カルニチントランスポータ異常症
・グルタル酸尿症2型

<糖代謝異常症>
・ガラクトース血症