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今回は『顔や手足が腫れる「遺伝性血管性浮腫」について…』をご紹介させて頂きます。

かゆくないけど「ヒリヒリする腫れ」を感じたら

まぶた、唇、顔、手足などが突然ひどく腫れ、2、3日したあとで自然に消えるという症状を「血管性浮腫」といいます。1992年、ドイツの内科医であったクインケ氏がはじめて報告したことから「クインケ浮腫」とも呼ばれる病気です。

一般的な浮腫(顔や手足が腫れる症状)にくらべて、体の限られた範囲で腫れが発生し、直径約1〜10cmほどに広がり、腫れ上がることがあります。
(1)かゆみを伴わない
(2)指で押しても跡が残らない
(3)ヒリヒリと熱さを感じる といった症状が特徴です。

「まぶた」と「唇」が起こりやすい

血管性浮腫は、皮膚のどこにでも生じる可能性がありますが、特に「まぶた」と「唇」に多くあらわれます。他には、口のなか、舌、のど、鼻のなか、気管支や消化管の粘膜に腫れが生じることがあります。

消化管が腫れると、
(1)お腹が圧迫されて痛くなる
(2)胸がむかむかする
(3)吐き気がすることがあります。のどが腫れると、物が呑み込めない、呼吸がしづらい症状に悩まされるでしょう。そしてときには、窒息する恐れがあるため、十分な注意が必要です。

顔(まぶたや唇)に腫れが見られたときは、そのあとで「のどが腫れる」ケースがよくあります。すみやかに、「皮膚科」や「内科」を受診し、医師に相談しましょう。危険な状態になるまえに、夜間でも迷わず「救急外来」を受診してください。

なぜ、「遺伝性血管性浮腫」は起こるのか?

血管性浮腫には、いくつかの種類がありますが、顔が変形するほどひどく腫れて、激しい腹痛に襲われるような発作が起こったときは、「遺伝性血管性浮腫」の疑いが持たれるでしょう。

遺伝性血管性浮腫は、HAE(Hereditary angioedema)とも呼ばれ、遺伝子の異常によって起こるたいへん稀な病気です。生まれつき、体内に「C1インヒビター」というタンパク質が減少していて、さらにその働きが弱いことが原因とされています。

C1インヒビターの減少(あるいは機能異常)は、体のなかに「ブラジキニン」という発痛物質を増やします。そして、体に腫れを起こし、激しい痛みを引き起こすのです。

「約5万人に1人」の難病

遺伝性血管性浮腫は、欧米では、約5万人に1人の割合で発症すると発表されています。日本では正確な患者数がまだ把握されていませんが、約2500人の患者が国内に存在すると推定されています。

血管性浮腫と同じく、まぶた、唇、のど、手足、お腹などに「腫れ」が起こります。遺伝性血管性浮腫は、腫れがくり返し起こるのが特徴で、その頻度は週に1度であったり、月に1度であったり、患者によってさまざまです。患者の約50%は、月に1度以上の発作が起こるとのデータがあります。そして、腫れる部位はいつも同じとは限りません。

「小児期や思春期の異変」に気づいてあげて

血管性浮腫の発症は、成人になってからその徴候が見られるのに対して、遺伝性血管性浮腫は、小児期や思春期に最初の徴候があらわれます。また、家族のなかで、くり返し浮腫の症状が起こっているのであれば、遺伝性血管性浮腫の可能性を医師に相談するとうよいでしょう。
遺伝性血管性浮腫は、たとえ症状が軽くても、できるだけ早く病院を受診しましょう。のどに腫れが起こると、呼吸困難を引き起こし、ときには、アナフィラキシーショックで命を落とすことがあるからです。

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