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今回は『運動すると発作が! 子どもに多い「運動誘発性喘息」』をご紹介させて頂きます。
小児喘息患者の約50%が発症
喘息を引き起こす原因はさまざまですが、「運動誘発喘息」は激しい運動をしたあとに起こる発作をいいます。EIA(Exercise Induced Asthmaの略)という呼び方をすることもあります。

子どもに多く発症するといわれ、小児喘息患者の約50%にみられる症状です。小児喘息は、2歳までに約60%が、6歳までに約90%が発症するといわれています。そのため、運動誘発性喘息は、小さな子どもに多く見られます。
「即時型」と「遅発型」
運動誘発性喘息は、ランニング、サッカー、自転車漕ぎなど比較的激しい運動を約3~8分間すると起こりやすくなります。運動が激しいほど発作の頻度は多くなります。ところが、水泳はハードな運動のはずですが、なぜか発作が起こりづらいようです。水泳を行うと呼吸筋が発達し、気管支も強くなるからとの説があります。

そして(1)湿度が低いとき、(2)気温が低いときに発作が出る傾向があるため、家庭や学校では、冬場などは気候条件についても配慮が必要でしょう。運動誘発性喘息は、運動直後に起きる「即時型」が一般的です。一方、運動の負荷から約6〜12時間経過して喘息の発作が起こるものを「遅発型」と呼びます。遅発型は、運動会などの行事の夜によく見られます。
発作はだいたい「30分」で回復する!
運動すると呼吸が速くなり、水分が蒸発します。すると、気道の温度が低下し、気道収縮が起こるといわれていますが、詳しいことはまだ解明されていません。気管支喘息の治療を受けている子どもが発症することもあれば、ふだん治療を受けていない子どもが激しい運動のあとに症状がでることがあります。
症状は、通常の喘息とほとんど同じで、ヒューヒューといった呼吸音が鳴るぜん鳴、咳、が見られます。空気を吐くことが出来なくなることから呼吸困難を起こすことがあります。ほとんどの場合、約20~30分で回復します。
ウォーミングアップで「予防」できる!
運動誘発喘息は、いきなり激しい運動をすることで発症します。そこで、運動前に軽めのウォーミングアップなど、段階的に体を動かすと、喘息の発作は起こりにくくなります。また、気管支粘膜からの水分蒸発を防ぐために「マスクを着用して」運動するのもおすすめです。

もし、発作があらわれたら少し休むことが大事です。腰をおろして水分を摂取し、呼吸をゆっくり整えます。
悪循環にならないために…
運動誘発性喘息がたびたび起こると、運動嫌いになる子どもがいます。幼少期に運動から遠ざかると、肺機能などの身体能力が低下し、かえって喘息の発作を繰り返す悪循環が生じることがあります。
小児科などの医師に相談して、子どもがどのように運動するのがよいかを確認しておくとよいでしょう。一般的には運動を行うことで、発作が起こりにくくなるといわれていますが、個人差があります。治療を含め、まずは専門医に相談するのがいちばんです。