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今回は『子供に教える「カミナリ(落雷)」からの避難方法 』をご紹介させて頂きます。

ゲリラ豪雨は予測できない?

近年、気象の大きな変化が地球に起こっているのでしょうか。突発的に起こる「ゲリラ豪雨」が各地で多発しているのが気になります。

あんなに天気がよかったのに、いきなり空が暗くなったかと思うと、激しい雨が降り出すなんて「ああ、夕立かあ、さっぱりするなあ」とか、そういうレベルの話ではないような気がします。ゲリラ豪雨の発生は、専門家でも予測が難しいといいます。

日本は「落雷の対処」の教育が弱い

そして怖いのは、いきなりの「カミナリ」と「落雷」です。ゲリラ豪雨などの影響で、各地でのカミナリの発生数は年々増えています。特に6~8月は広い範囲で発生します。

また、発生する時間のほとんどはお昼過ぎから夕方で、子供が学校帰りだったり、お稽古にゆく途中だったり、お外で遊んでいる時間だったりします。カミナリや落雷は、広い場所でなくても怖いものです。

日本は地震多発国ですので、地震に対する教育には学校も力を入れています。しかし、落雷についての教育は、欧米にくらべて軽視されているようです。お子さんに、カミナリが発生したときの対処方法をしっかり教えておきましょう。

カミナリは「雲がなくても」落ちる

カミナリは高いところ、高く尖ったところに落ちやすいのが特徴です。建物の屋上、山の頂上や尾根、高い木のそばなどは、もちろん注意が必要です。そして、周囲に高いものが「ない」場所こそ、要注意であることを子供に教えましょう。

グラウンド、広い公園、屋外プール、堤防、砂浜などはカミナリが落ちやすい場所です。落雷による死亡事故でもっとも多いのは「開けた平地」で雷の直撃を受けたケースです。

2014年8月の午後、愛知県の高校のグラウンドで、野球の練習試合中に発生した落雷で死亡事故が起きています。晴天にもかかわらず、いきなりドーンとカミナリが落ちてきたといいます。試合中の選手は一斉にグラウンドに身を伏せました。そして、顔を上げたらマウンドで投手が倒れていたそうです。

つまり空に雲がなくても、いきなりカミナリが落ちてくる可能性はあるということです。落雷は地震の同じように、突然やってくる天災です。そのことを理解し、自分で自分の身を守れるだけの十分な知識が子供にも必要です。

とりあえずの「雨宿り」は危ない

落雷による死亡事故で、2番目に多いのは「木の下の雨宿り」です。高い木の下にいれば、「木が避雷針の変わりをしてくれて安全だ」と教える人がいますが、これは大きな誤解です。間接的に落雷する可能性があるからです。

カミナリは電気を通しやすいものに向かって放電する性質があります。木は空気よりも電気を通しやすいため、周囲に高い木があれば木のてっぺんにカミナリは落ちる可能性は高くなります。

そして実際にカミナリが落ちたとします。ところが、木の下に人間が立っていると、人間は木よりも電気を通しやすいため、カミナリは人間に向かって飛んで来ます。落雷した場所の近くで、流れてきた電流に感電する状態です。これを「側撃」といいます。

同じ理由で、建物の軒先で「とりあえず雨宿り」するのも危険です。カミナリが鳴ったら、すぐに建物の中に避難して、なるべき中心にいるようにしましょう。

「カミナリしゃがみ」を教える

アメリカのフロリダやルイジアナなど落雷が多い地域では、子供たちは「カミナリしゃがみ(Lightning Crouch)」と呼ばれる姿勢を学校などで覚えます。「カミナリしゃがみ」は、落雷から自分の身を守るための大事な行動です。

カミナリは、高いところから落ちて地面に届いたあとでも、まだ安心はできません。地面より人間の方が電気を通しやすいからです。そこで、「カミナリしゃがみ」の姿勢が必要になります。

<カミナリしゃがみ>

(1)できるだけ低い姿勢で、足を閉じてしゃがむ
(2)頭を下にかがみ、小さくなる
(3)両手で耳をふさぐ
(4)左右の足のかかと同士を合わせる
(5)そのままの姿勢で、かかとを地面から浮かせる(つま先立ち)

なぜ、「カミナリしゃがみ」をするのか?

カミナリしゃがみの姿勢をとるのは、「上からカミナリが落ちるのを防ぐため」と「地面から流れる電流に備えるため」です。

つま先立ちの姿勢で、地面との接点をなるべく少なくします。そしてもし、地面からの電流が足から進入しても、両足のかかとを合わせていれば、電気はかかとを通ってもう一方の足へ流れ、電気をUターンさせて地面に返すことができます。

その他にも次のような事項をしっかり教えておきましょう。

・リュックなど、荷物は地面におろす
・傘をさすのは危ないのでやめる
・自転車からは降りて、すぐに建物に入る
・カミナリの様子を見学しに行ったりしない