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今回は『梅雨の季節、梅干しの殺菌力と防腐作用!』をご紹介させて頂きます。

1000年伝わる「梅干しの効用」

「梅干しを食べると食あたりになりにくい」という言い伝えは、昔からあります。梅干しには、クエン酸やカテキン酸などの有機酸が豊富に含まれており、抗菌・滅菌の働きと、消炎などの整腸機能が認められています。

梅干しが食中毒菌である「黄色ブドウ球菌(MRSA)」や「病原性大腸菌(O-157)」の増殖を抑える効果はすでに明らかになっています。

お弁当の白米やおにぎりの真ん中に、梅干しをどーんと入れるのは日本では当たり前のような習慣のひとつです。平安時代の医学書「医心方」では、梅干しの効用が取りあげられています。梅干しの効き目は、1000年以上まえから伝わっています。

梅干しは「殺菌作用」を増強する

健康な胃は感染症の原因になる細菌やウイルスを殺菌する作用のある「胃液」を分泌しています。ふだん食中毒が起こりにくいのはそのためです。

ところが、体調を崩して胃酸の働きが弱くなると、細菌などが増殖しやすくなります。そのようなときに梅干しを食べると、有機酸による強い抗菌力で、胃液や胆汁液の殺菌作用を増強し、体外から入ってきた食中毒菌が増えるのを阻止します。

殺菌効果は「食べて」発揮される

ここで誤解してはいけない大事なことは、「梅干しの殺菌効果は人間の体内に入ってから効果を発揮する」ことです。したがって、お弁当の白米の真ん中に梅干しを入れておくだけで、お弁当にある全部の食べ物に殺菌効果が期待できるわけではありません。食べてはじめて殺菌効果が得られます。

また、梅干しには防腐剤の効果はありますが、お弁当全体が腐らなくなるわけではありません。梅干しに触れている部分の食品が腐りにくいという防腐効果です。

白米の上に梅干しをのせても、おかずには影響はありません。梅雨の時期や夏場など暑い季節は、保冷剤やクーラーバッグなどを活用しましょう。

「酸っぱくない梅干し」は期待できない

昔の梅干は塩とシソの葉だけで漬けていて、塩分は20%以上あり、顔をしかめるほど酸っぱいものばかりでした。見るだけでご飯が食べられるといわれたほどです。「そもそも梅干しは食べるものではなく、眺めていると自然に出てくるつばをおかずにしてご飯を食べるためのもの」という落語もあるくらいです。もちろん常温でも腐りません。

しかし現在市販さえている梅干の多くは、調味漬けされている「調味梅干し」です。調味梅干しは、世間の減塩志向に合わせて塩分濃度は8%ほどです。

さらにハチミツ、甘味料、アミノ酸など調味料が加えられ、口当たりがやわらかくなっています。見かけは梅干しのようですが、調味梅干しでは、殺菌効果や防腐作用は期待できません。近年、日本の夏は酷暑が続いています。暑い季節のお弁当は注意が必要です。