今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『胃や腸に穴があく「過呼吸の発作、応急処置はどうしたらいい?』をご紹介させて頂きます。
発作は「空気の吸い込みすぎ」で起こる
過呼吸は「浅く早い呼吸」を必要以上にくり返したときに、空気を吸い込みすぎて呼吸困難などの発作を起こす症状です。発作は、血液中の酸素と二酸化炭素のバランスが関係して起こります。
もともと、人間の血液は、酸素と二酸化炭素が一定の割合で含まれており、酸性(酸素が多い)とアルカリ性(二酸化炭素が多い)のバランスが、ちょうど中性の範囲に保たれて健康は維持されます。
ところが、過呼吸によって吸い込みすぎた酸素が体内に増えると、血液中の「二酸化炭素の濃度」が一時的に大きく低下します。すると、血液がアルカリ性に傾き、体に次のような異常があらわれます。
・突然の呼吸困難
・頭痛、めまい、ふらつき
・動悸、胸痛
・手足や唇のしびれ
・全身のけいれん
・激しい耳鳴り
・意識混濁(意識が遠のいた状態)
発作よりも「パニック」が怖い!!
過呼吸の発作は、一時的で約30分〜1時間で治まります。しかし怖いのはパニックです。急な発作に動揺して「このまま死んでしまうかも」と恐怖に襲われ、強い不安からパニックに陥ることがあります。
過呼吸による発作は、胸が苦しく、呼吸がしづらいことから、「酸素が足りない」と本人は自覚しますが、これは間違いです。発作が起こるのは「二酸化炭素の濃度」が低下しているためで、不足しているのは二酸化炭素です。
二酸化炭素が不足しているので、体は一旦呼吸を停止したがりますが、意識は「息苦しい」と感じて必死に呼吸をしようとします。どっちを優先してよいのか分からなくなり、混乱します。そのうえ、視界は狭まり、めまい・耳鳴り・全身のけいれんがあらわれると、冷静さを失い、パニックに陥るのです。
慌てないために「応急処理」を知っておこう
発作が起こったときは、本人や周囲の人が慌てないことが大事です。「息が吸えない感覚」があるだけで、酸素は十分足りていますし、死ぬようなことはありません。強い発作でも、1時間程度で自然に回復します。
酸素を抑えて二酸化炭素の濃度を上げるため、次のような応急処置を行います。次第に、発作は鎮まります。
(1)胸に手をあてて、呼吸を「浅く・ゆっくり」行う
(2)息を吸ったあとに口を閉じて、1~2秒息を止める
(3)吸い込んだ息を、10秒かけて吐く
自分で「ペーパーバック法」は行わない
発作が起きたら袋を口にあてる「ペーパーバック法」がよく知られています。これは、本人が吐いた二酸化炭素を再吸引して、二酸化炭素の濃度を上げる方法です。
しかし「低酸素で死亡したケースがある」などの理由で、いまは推奨されていません。医師や救急隊員など専門家以外の人が行うのはとても危険です。先に挙げた応急処理を行い、経過を観察しましょう。
大抵の発作は時間が経てば鎮まりますが、次のような状態が続くようなら「救急車」を呼びます。
・体のしびれが改善しない
・けいれんを起こしている
・意識が遠のいている
そして、過呼吸を何回も起こすときは、精神的ストレスの原因が考えられます。「心療内科」を受診し、専門医の意見を聞きましょう。