「あともう少しだけ…」一度目覚めても、まだベッドから出たくない。
「二度寝」のあの抗いがたい快感は、多くの人が経験したことのある至福の時間ではないでしょうか?
つい寝過ごしてしまったり、罪悪感を覚えることもあるかもしれませんが、この「気持ちいい」瞬間には、現代社会に蔓延する「睡眠不足」のサインが隠されているのかもしれません。
忙しい毎日を送る私たちにとって、「快眠」は常に追い求める理想。「良質な眠り」が難しいと言われる現代で、二度寝は貴重な休息のチャンスなのでしょうか?
それとも、実は私たちの「生活」や健康を脅かす習慣なのでしょうか?
今回は、そんな二度寝の魅力と、医学的に見るメリット・デメリットを徹底解説。気持ちいいだけでは終わらない、賢い「睡眠改善」のヒントを一緒に探りましょう。
二度寝の位置付け
良質な睡眠としては、二度寝は良くないことといえるでしょう。しっかり寝て、一度で覚醒することが望ましいです。しかし二度寝は、不眠症よりは悪くない状態といえます。
睡眠から「まどろみ」まで覚醒し、その後再び睡眠に落ちる過程のことを、二度寝といいます。まどろみがポイントです。
まどろみが発生する原因は、2つあります。
ひとつめの原因は、眠りに入ってまだ日が浅い、4~5時間程度の段階で、不適切な「睡眠環境」によって目覚めてしまうことです。
たとえば、早すぎる室内の明るさ、外部からの騒音、寝室の温度が適切でないなどが挙げられます。
これを解消するには、寝室の遮光・防音対策、快適な室温維持など、「睡眠環境」を積極的に整えることが重要です。
また、十分な睡眠時間を確保する「生活」リズムを見直すことも不可欠です。
もうひとつのまどろみの原因は、目覚めるタイミングです。
7時間以上の睡眠を取っているのに、二度寝を繰り返す人は、起きるときのタイミングを変えてみるとよいかもしれません。
このことを理解するには「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の知識が必要です。
レム睡眠のときに起きよう
睡眠には「浅い眠り=レム睡眠」と「深い眠り=ノンレム睡眠」があります。レム睡眠とノンレム睡眠は、交互に訪れます。例えば8時間ぶっ通しで眠っているときでも「ある時間帯はレム睡眠をしていて、それがすぎるとノンレム睡眠に移行する」ということを繰り返しているのです。
浅い眠りとは、完全に眠り切っていない状態です。脳が少しだけ働いていますので、夢を見ます。脳が働いているので、体はあまりリラックスできていません。体が本当に休息しているのは、ノンレム睡眠の時間だけです。
レム睡眠時に目覚めることは、「スーッと爽やかに起きられる」という快感だけでなく、その後の日中のパフォーマンスにも大きく影響します。
深いノンレム睡眠中に無理やりアラームで覚醒させられると、頭がぼーっとしたり、日中の眠気が取れないなど、寝起きの悪さが一日中尾を引いてしまいます。
二度寝を繰り返してしまうのは、このノンレム睡眠時に目覚めている可能性が高いと言えるでしょう。
理想的な「レム睡眠時に起きるタイミング」を見つけるには、いつもの睡眠時間を30分単位で調整してみる(例:7時間睡眠なら6時間半または8時間に試す)ことが有効です。
さらに、「睡眠改善」のための具体的なアプローチとして、寝る前や目覚める直前に「肩甲骨ストレッチ」を取り入れることをおすすめします。
肩甲骨周りを動かすことで血行が促進され、リラックス効果が高まります。
これは、睡眠と深く関わる「自律神経」のバランスを整えることにも繋がり、深い眠りへと誘導し、レム睡眠での目覚めを助ける効果が期待できます。
リラックス効果がある
二度寝にはリラックス効果があることが立証されています。古くから「嫌なことは寝ると忘れる」といわれていますが、これは正しい説なのです。また、二度寝をしたときの快感もリラックス効果のひとつです。
睡眠中には、私たちの体内で「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。
このコルチゾールには、ストレスから心身を守る、いわば「ストレス耐性」を高める作用があります。
例えば、同じようなストレスを受けても、ある人は心身の不調をきたし、ある人は平然と乗り越えられることがあります。
この個人差は、ストレスへの「心の構え」だけでなく、このコルチゾールを含むホルモンバランスや「自律神経」の働きによるところが大きいのです。
コルチゾールは、ストレスに対して「大丈夫、乗り越えられる」と心身に働きかける効果があると言われています。
そして、このコルチゾールの分泌量は、実は目覚める1~2時間前にピークを迎えます。
つまり、目が覚める直前の私たちの脳内には、日中よりも多くのコルチゾールが存在している状態。
この生理的なメカニズムが、二度寝をした時の抗いがたいほどの快感やリラックス効果を生み出していると考えられています。
この一瞬の心地よさが、「自律神経」を休ませ、心身を落ち着かせる効果を持つことも少なくありません。

三度寝はNG
「二度寝どころか、三度寝、四度寝と繰り返せば、もっと大きな快感が得られるのでは?」そう考える方もいるかもしれません。
しかし、それは大きな間違いです。一度目覚めた後に再び深い眠りにつこうとすると、私たちの体は大きなダメージを受けることになります。
特に三度寝、四度寝と過度に繰り返してしまうと、体本来の「体内時計」や「睡眠リズム」が大きく乱れてしまい、その弊害は計り知れません。
「体内時計」は、私たちの起床・睡眠だけでなく、ホルモン分泌や体温調節など、あらゆる生命活動をコントロールする重要な役割を担っています。
これが乱れると、日中の集中力低下、だるさ、食欲不振など、様々な不調を引き起こします。
その一つとして顕著なのが「頭痛」です。
長時間の睡眠、特に10時間以上もの過剰な睡眠は、脳内の血管を弛緩させ、血流量を増加させます。
これにより太くなった血管が周囲の神経を圧迫し、不快な頭痛を引き起こすことがあります。
また、過度な睡眠は、かえって強い疲労感を生むこともあります。
二度寝や三度寝の最中には、「本当は起きなければ」という意識と、「もっと寝ていたい」という欲求の間で葛藤が生じます。
この葛藤は「自律神経」にも負担をかけ、結果として心身ともに完全にリラックスしてぐっすり眠ることを妨げます。
そのため、二度寝以降の眠りは、睡眠時間が増える割には、体がしっかりと休まらない「質の低い睡眠」となってしまうのです。
これにより、慢性的な「睡眠不足」につながる可能性も否定できません。
10分以内がベスト
二度寝の快感は素晴らしいものですが、その効果を最大限に活かし、弊害を避けるためには、その時間を「10分以内」に留めることが重要です。
30分以上深く眠りに入ってしまうと、リラックス効果を上回る弊害(体内時計の乱れや疲労感)が生じやすくなります。
したがって、二度寝は「本来の睡眠時間」とは別に、あくまで「昨日頑張った自分へのささやかなご褒美」や、心身のリセットのための短い休憩と捉えるのが賢明です。
二度寝の心地よさを味わいつつも、それが「睡眠不足」のサインでないか、立ち止まって考える良い機会でもあります。
適切な「睡眠環境」を整え、規則正しい「生活」リズムを心がけ、「レム睡眠」でスッキリ目覚める工夫をするなど、日々の「睡眠改善」への意識を持つことが、心身ともに充実した「快眠」への第一歩となるでしょう。
賢く二度寝を取り入れ、最高の毎日を過ごしましょう。