今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『「二度寝」は体に良いの? 仕事効率が上がるの?』をご紹介させて頂きます。

一度目覚めて、まだ余裕があることに気が付いてもう一度寝る「二度寝」。とても気持ちいいですよね。あまりに気持ち良すぎて、寝過ごしてしまった経験をお持ちの方も少なくないと思います。
現代人は「良質な眠り」が不得意といわれています。なので快感たっぷりの二度寝は、貴重な睡眠の機会といえそうです。しかし医学的には良いことばかりでもなさそうです。
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二度寝の位置付け

良質な睡眠としては、二度寝は良くないことといえるでしょう。しっかり寝て、一度で覚醒することが望ましいです。しかし二度寝は、不眠症よりは悪くない状態といえます。

睡眠から「まどろみ」まで覚醒し、その後再び睡眠に落ちる過程のことを、二度寝といいます。まどろみがポイントです。
まどろみが発生する原因は、2つあります。ひとつめの原因は、眠ってから4~5時間くらいしか経っていないのに、外からの刺激を受けてしまうことです。これを解消するには、寝る環境を整えたり、睡眠時間を確保する必要があります。

もうひとつのまどろみの原因は、目覚めるタイミングです。7時間以上の睡眠を取っているのに、二度寝を繰り返す人は、起きるときのタイミングを変えてみるとよいかもしれません。このことを理解するには「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の知識が必要です。

レム睡眠のときに起きよう

睡眠には「浅い眠り=レム睡眠」と「深い眠り=ノンレム睡眠」があります。レム睡眠とノンレム睡眠は、交互に訪れます。例えば8時間ぶっ通しで眠っているときでも「ある時間帯はレム睡眠をしていて、それがすぎるとノンレム睡眠に移行する」ということを繰り返しているのです。

浅い眠りとは、完全に眠り切っていない状態です。脳が少しだけ働いていますので、夢を見ます。脳が働いているので、体はあまりリラックスできていません。体が本当に休息しているのは、ノンレム睡眠の時間だけです。
レム睡眠のときに目覚めると、スーッと起きることができます。逆に、ノンレム睡眠のときにアラームで強制的に目覚めると、寝起きが悪いです。起き上がっても眠気が取れていません。
二度寝を繰り返している人は、ノンレム睡眠のときに目覚めている可能性があります。いつもの睡眠時間を30分ずつ増やしたり減らしたりして、自分の「レム睡眠時に起きるタイミング」をつかんでみてください。
例えばいつも7時間眠っている人は、6時間半にしたり8時間にすることでレム睡眠時に起きられるようになるかもしれません。
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リラックス効果がある

二度寝にはリラックス効果があることが立証されています。古くから「嫌なことは寝ると忘れる」といわれていますが、これは正しい説なのです。また、二度寝をしたときの快感もリラックス効果のひとつです。

睡眠しているときに、脳内にコルチゾールというホルモンが分泌されます。このホルモンは、ストレスを跳ね返す力を強くする作用があります。
例えば、嫌味な上司がいたとします。その上司はすべての部下に、均等に嫌味をいいます。しかし部下の方では、ある人は心の病気になり、ある人は平気に過ごしています。
この差は、ストレスを跳ね返す力が強いかどうかによって生じるのです。同じストレスに対して、「大丈夫だ」と思えるか、「やばいかも」と考えてしまうかで、心のダメージは全然違ってきます。コルチゾールは「大丈夫だ」と思わせる効果があるのです。

そしてコルチゾールの分泌量は、目覚める1~2時間前に最大になります。つまり目覚めたときの脳内のコルチゾールは、日中より多く存在しているわけです。これが、二度寝の快感を生んでいると考えられています。
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三度寝はNG

「二度寝どころか三度寝、四度寝をすれば、快感がもっと得られて良いのではないか」と考える人もいると思います。しかしそうではありません。三度寝、四度寝までいってしまうと、睡眠のリズムが狂ってしまうことによる弊害が大きくなってしまうのです。
ひとつは頭痛です。10時間以上眠ってしまった後、頭痛に襲われることがあります。これは、睡眠によって脳内の血管が緩み、血流量が増えてしまうからです。太くなった血管が周囲の神経を圧迫して頭痛が発症してしまうのです。

また、過度な睡眠は疲労感を生むことがあります。というのは、二度寝にも三度寝にも、「本当は起きなきゃいけないんだけど」という気持ちの葛藤があるわけです。そのため、ぐっすり眠ることはできません。二度寝以降の眠りは、睡眠時間の割に体は休まっていないのです。

10分以内がベスト

二度目の眠りは10分以内にとどめましょう。30分以上眠ってしまうと、リラックス効果よりも弊害の方が多くなってしまいます。つまり、二度寝は「睡眠時間」にカウントしないでください。昨日頑張った自分へのささやかなご褒美程度にとどめておきましょう。