今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『プール熱を軽く考えないで!』をご紹介させて頂きます。
「プール熱」の正式名称は「咽頭結膜熱(いんとう・けつまく・ねつ)」といいます。その名の通り、のどと目が痛み発熱する病気です。夏場、子供がプールにでかけて、しばらくして風邪の症状が出ることから、この名が付きました。
名称からも、症状からも「軽そう」と考えられがちですが、実は感染力が強くあっという間に流行する病気です。また法律で通学や通園が禁止されている病気です。まれに重症化することもあります。実は十分な警戒が必要な病気なのです。
のど、目、熱
プール熱の症状は、のどの痛み、目の痛み、そして発熱です。この3つがすべて現れることが多いのですが、どれかが出てこないこともあります。
発熱は急に起こります。さっきまで元気に走り回っていた子供が、突如動けなくなるといった感じです。40度に達することも珍しくありません。
目の痛みは結膜炎を発症しているからです。痛みのほかに、充血や目やに、かゆみも生じます。「まぶしい」と訴える子供もいます。
この3大症状に加えて、患者によっては腹痛や下痢、咳が出ます。それで「感染」とは考えず、「単なる夏風邪」と放置されることがありますが、それは危険です。
ウイルスに感染して起きます
プール熱の原因ははっきりしています。「アデノウイルス」というウイルスに感染して発症します。感染者がプールで遊ぶことで流行することが多いのですが、空気感染や飛沫感染もします。
アデノウイルスの潜伏期間は1週間ほどです。つまり風邪のような症状が出た日の1週間前に感染したことになります。
2次感染に注意を!
潜伏期間が1週間あるということは、感染者が感染したことに気付かず1週間もウイルスをまき散らす可能性があるということです。この間に2次感染が広がります。
潜伏期間中のウイルスの拡散は防げなくても、のど・目・熱の3大症状が出たときにすぐに対処することで被害を小さくできます。
子供であれば、登校や登園を中止してください。これは法律でそのように定められています。プール熱は学校伝染病の第2種に指定されていて、3大症状が治まってから2日間は学校や保育園などに行くことはできません。
大人が感染した場合も、出勤しないようにしてください。
そして「プール熱に感染したかも」と思ったら、すぐに医者にかかることが重要です。
家庭でできること
家庭ではプール熱を発症した子供にはマスクを着用させてください。キスなどの接触は避けてください。ウイルスは糞便にも含まれるので、オムツをしている子供の場合は、オムツ専用のごみ袋を用意するなど、細心の注意を払ってください。
子供の目やには、子供が自分の手で取らないようにしてください。親がティッシュや綿棒を使って取り除いてください。使い終わったティッシュや綿棒を、ほかのゴミと一緒にしてしまうのも危険です。
重症化すると
まれにですが、大人が発症することがあります。大人がプール熱にかかると重症化する確率が高まるといいます。大人がプール熱をこじらせると、胃腸炎、急性呼吸器感染症、出血性膀胱炎という病気を引き起こします。
つまり、胃も腸も肺も膀胱もやられてしまうのです。
治療法も予防法もありません
プール熱を根治する治療法は開発されていません。体内のウイルスを外に出したり、ウイルスを死滅させることはできないのです。それでプール熱の患者には、対症療法が行われます。3大症状を鎮める薬が処方されます。喉の痛みを抑える抗炎症剤や、目の痛みを和らげる点眼薬、そして熱を下げる解熱剤です。
また唯一治療法があるとすれば、それは自然治癒力です。プール熱にかかったら、すぐに医者に行き、その後は安静に過ごすことです。
プール熱を引き起こすアデノウイルスを予防する方法もありません。自己防衛としては、プールから上がったら、すぐにシャワーを浴びて、目を洗い、うがいをしてください。
まとめ
過度に恐がる必要のない病気ですが、「感染させない」「感染しない」ことがとても重要です。