今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『「アポロ熱」は「急性出血性結膜炎」といいます!!』をご紹介させて頂きます。

白目から出血することもある急性出血性結膜炎は、通称「アポロ熱」といいます。この病気が流行する直前、アメリカのアポロ11号が月面着陸を果たしました。その宇宙飛行士たちが月の菌を地球に持ち込んだのでは!?というのがこんな通称が付けられた経緯です。しかしもちろんそれは単なる都市伝説です。
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充血、めやに

アポロ熱は地球上のウイルスによって引き起こされる病気です。
症状は、ある日急に、眼の白目が充血することから始まります。白目から出血することもあります。前後して、大量のめやにが発生するでしょう。朝目覚めたときに、目が開けられないほどのめやにが出る患者もいます。子供の患者だと、タオルでこすってあげないとならないほどで、ぼろぼろこぼれ落ちます。

この時点で治療に取り掛からないと症状は悪化し、耳の下の顎に近い部分が腫れます。これは皮膚の下にあるリンパ節が腫れているのです。押すと痛いのが特徴です。
さらに、目にごろごろとした違和感が起きます。さらに白目だけでなく、黒目にも異常をきたします。しばらくすると黒目に傷が付き、強烈な痛みが起きます。

目の膜がやられてしまうと…

目には角膜と結膜があります。角膜は黒目の表面を覆っています。結膜は白目とまぶたの裏を覆っています。角膜と結膜があるおかげで、1日に数万回ものまばたきをしても、目が傷つかないのです。
ですので、アポロ熱によって結膜に傷が付くということは、目を傷づけることに他ならないのです。
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沖縄県以外ではほとんど発症していない

アポロ熱を引き起こすのは「エンテロウイルス70型」と「コクサッキーウイルスA24変異株」といいます。ただ、アメリカを中心に世界中で流行しましたが、近年の日本国内での発症例は、沖縄県のみとなっています。
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薬で症状を抑えて感染を予防する

アポロ熱は、流行性角結膜炎(はやり目)や咽頭結膜熱(プール熱)、ヘルペス性結膜炎と同じ、ウイルス性結膜炎の仲間です。ウイルス性結膜炎の治療方法は、まだ確立していません。つまり、感染したウイルスを殺す薬がないのです。
しかし早めに眼科にかかる必要があります。まず炎症を抑えなければなりません。薬は抗炎症薬を使います。黒目を傷つける前に炎症を食い止めたいところです。
治療をする目的は、患者自身の苦痛を和らげるだけではありません。アポロ熱の感染を防ぐことも重要です。感染を防ぐ効果が期待できる目薬が処方されるでしょう。
まれに、入院が必要な程度まで悪化することもあります。

治療は安静第一

アポロ熱のウイルスに感染すると、早い人だと3~4日で発症します。この間に他人にうつしてしまうのです。眼科の治療を受けて症状を抑えて、安静に過ごせば1週間程度で症状はなくなります。これは体の中にウイルスと闘う「抗体」というものができるからです。つまり抗体ができあがるまでに1週間かかるということです。

またウイルスは感染した体が弱っていると猛威をふるいます。アポロ熱に感染したときに体調が悪いと、症状が悪化しやすくなるということです。ですのでアポロ熱を発症したら、安静にして体力を温存する必要があるのです。

まとめ

繰り返しになりますが、アポロ熱は国内ではもうほとんど見られないようになりました。衛生状態が改善したからでしょう。ただ、結膜を傷害するウイルスは他にもあります。目の異変は軽症でも医者にかかることがベストです。失明をきたすようなことはないのですが、患者自身の生活の質を確保しつつ、感染者を増やさないようにするエチケットが必要です。