今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『供の夏風邪「ヘルパンギーナ」』をご紹介させて頂きます。

「夏風邪トリオ」の次男坊

子供の「夏風邪トリオ」をご存知でしょうか。(1)手足口病(2)ヘルパンギーナ(3)咽頭結膜熱(プール熱)です。

夏風邪トリオは、乳幼児がかかりしやすく、発熱やつらい喉の痛みが特徴です。感染しないよう気をつけてあげたいものです。

夏風邪トリオのなかで、手足口病は、そのあまりにもそのまんまなネーミングと、2011年・13年・15年の大流行ですっかり有名になりました。プール熱は、学校や市営プールで話を聞いたことでしょう。

さて、「ヘルパンギーナ」とはどういった夏風邪でしょう。これだけカタカナというのも気になります。
ヘルパンギーナは、ドイツ語からきている言葉ですが、ヘルパンギーナという単語はありません。ヘルペス(水泡)とアンギーナ(喉の奥の炎症)という2つの言葉が合わさってできた名前です。つまり、喉が炎症し水泡ができる症状がヘルパンギーナというわけです。
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患者の90%以上が、5歳以下の乳幼児

ヘルパンギーナは、急性のウイルス性咽頭炎です。
夏風邪ですが、5月下旬から増え始め、7月、8月に流行し、9月下旬からは見られなくなります。患者の90%以上が5歳以下の乳幼児といわれ、多くは1、2歳の乳児です。

原因ウイルスは「エンテロウイルス」と呼ばれるウイルス群です。エンテロとは「腸管」という意味で、名前のとおり腸管内で増殖し、なかでも主に「コクサッキーウイルス」が原因でヘルパンギーナは発症します。原因ウイルスが複数存在するため、終生免疫が得られず再感染の可能性があります。
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高熱・水泡・喉の炎症

ヘルパンギーナの代表的な症状は3つです。
(1)38度以上の高熱
(2)口内炎や水泡
(3)喉や口蓋垂(のどちんこ)の炎症

(1)38度以上の高熱
ヘルパンギーナを発症すると、突然38度~40度近い高熱を発症することが多くあります。暑くなりはじめの時期、子供が突然に高熱をだすようなら、ヘルパンギーナを発症しているかもしれません。
前兆として、不機嫌や食欲低下がみられるようです。高熱による倦怠感・関節の痛みがあります。熱は2、3日でさがります

(2)口内炎や水泡
口内炎・水泡・水ぶくれが発生します。上あご・咽頭部のまわりに多数発生するのが特徴です。水泡は白く、直径2ミリ~4ミリで目視による確認ができます。しかし、直接指先などで触れることは避けましょう。接触感染を防ぐためです。

(3)喉や口蓋垂(のどちんこ)の炎症
喉をみると奥が真っ赤になっているのがわかります。喉や口蓋垂が炎症しているためです。喉に強い痛みがでて、食事はもちろん、つばを飲み込むのも大変になります。そのため、よだれが多くなったり、嘔吐したりすることがあります。喉の痛みは4〜6日でおさまります。
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手足口病との違い

ヘルパンギーナは、手足口病と似ています。夏に流行し、発熱があり、水泡ができる、という点は同じです。その違いを確認しておきましょう。
どちらの疾患も喉に水泡ができますが、手足口病はそのあと、手や足に発疹があらわれます。ヘルパンギーナは手や足に発疹が出ることはありません。
発熱について、手足口病は「突然の高熱」という症状はあまりみられません。37度〜38度の熱で、発熱しない人もいます。
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症状がでたら、まず安静そして水分補給をしっかり

ヘルパンギーナの治療薬はありません。高熱を下げるなどの対処療法を行い、安静に過ごしましょう。喉の痛みが強いため、食欲不振になりがちですが、脱水症状にはくれぐれも注意しましょう。水分補給をしっかり行うことが大切です。

食事は、噛まずに飲み込めるものがよいでしょう。ゼリー、プリン、おじやなどを用意します。果物ジュースは喉にしみるので、湯冷ましなどで水分補給を心がけます。
そして、大人は二次感染に気をつけてください。ストレスや疲労で免疫力が落ちていると、大人でも感染します。大人は症状が重く、子供以上に高熱が続き、口内炎や水泡に強い痛みがでます。
二次感染は、会話やくしゃみなどによる飛沫感染が大半を占めます。家族内に発症した人がいたら、マスクをつけて予防しましょう。
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ヘルパンギーナは「生活習慣」で予防する

ヘルパンギーナはウイルス感染症ですが、予防薬はありません。手洗い・うがいの徹底が大事です。子供のうちから、生活習慣で病気予防することを教えるとよいでしょう。
気温が高くなると、冷たい飲み物や体を冷やす食べ物が欲しくなります。体が冷えると免疫力は低下します。そこへ、ヘルパンギーナのウィルスが侵入してくるとどうでしょう。冷たい物はほどほどにしましょう。

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