今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『遅延型食物アレルギー』をご紹介させて頂きます。

数日後に異変が起こる「遅延型」の食物アレルギー

厚生労働省の調査によると、日本人の3人に1人は何らかのアレルギー症状を抱えているそうです。食物アレルギーには、蕁麻疹(じんましん)や湿疹、腹痛などの症状が即時にあらわれる場合がよく知られています。

食物アレルギーはさまざまなタイプがありますが、一般的に、食べたあと数分〜1時間ほどで症状があらわれます。ところが、食事のあと1〜3日経過して症状がでる「遅延型食物アレルギー」の患者数が、ここ10年で大幅に増えているようです。

食物アレルギーは1905年にはじめて論じられたといいます。それから100年以上経過して遅延型食物アレルギーの存在が話題になりはじめています。
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肌荒れ・イライラ・不安など症状は150種類以上

遅延型食物アレルギーは、すぐに症状が出ないため、本人でも気づきにくく、好きで食べ続けていたものが実はアレルゲン(アレルギーの原因食物)であったケースもあります。

気づかないうちに腸に慢性的な炎症が起こり、免疫異常を引き起こします。その人のいちばん弱いところに症状が出るともいわれます。一般的なアレルギー症状のほかに、イライラや不安が強い・体がだるく無気力・頭痛やめまい・便秘・肌荒れなど、さまざまな症状がでるのも遅延型食物アレルギーの特徴です。

症状は、中枢系・呼吸器系・消化器系・精神系など全部で150種類以上と考えられています。しかしどれも重篤でないため、 根本的な治療がされず対処療法がほとんどです。

そして、即時型アレルギーの場合は、年齢を経ると治まるケースがありますが、遅発型は年齢に関係なくその症状があわわれるのも特徴です。
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アレルゲンは100種類以上

遅延型食物アレルギーのアレルゲンは、即時型と同じです。

したがって、厚生労働省で食品表示が義務付けらている特定原材料5品目(卵・乳製品・小麦・そば・ピーナッツ)と、表示が推奨されている19品目(あわび、いか、いくら、えびなど)は含まれます。

それ以外に約100種類の食物アレルゲンが存在するようです。

即時型アレルギーとは別の抗体

食物アレルギーは、食べ物に対する抗体が働いて症状が起こります。即時型食物アレルギーは「IgE」という抗体が発症に関わります。病院では、5ccほどの血液検査で疑わしい食品について、IgE抗体があるかどうかを調べてアレルギーの診断をします。

一方、遅発型は「IgG」という別の抗体によって、弱い反応が時間をかけて起こります。IgG抗体は、血液中で最も多くみられる抗体です。即時型と同じく、少量の血液を採取する検査で、約100種類の食品についてのアレルギー反応を3〜4週間で調べることができます。

IgE抗体では低い数値でも、IgG抗体の検査ではアレルギー注意となることも考えられます。
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アレルゲンの発見が大事

遅延型食物アレルギーの治療方法は見つかっていません。アレルゲンの食品を口にしないことで症状を抑えるのが大事でしょう。それにはアレルゲンを見つけることが重要です。

遅延型食物アレルギーの専門医や総合病院で検査をして、IgG抗体のアレルゲンを発見しましょう。費用は保健の対象でないため自費診療です。3〜6万円ほどかかります。

また、96品目対応の検査キットも販売されています。個人で行うと、費用は3万円以下に抑えられるようです。
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好きなものでも、4日に1度のローテーションで

検査の結果が陽性の場合は、アレルギー反応を鎮静化するために、原因となる食べ物の摂取を避けましょう。

強い陽性反応が出たときは、3~6ヶ月間原因となる食べ物の摂取を完全に断ち、アレルゲンを抜く必要があります。6カ月間の摂取制限でほぼ半分に減少します。そのあとは小腸の分解能力を超えない範囲で少しずつ食べてよいようです。

そして、できるだけ旬の食物をバランスよく食べましょう。1日のうちで同じ原材料が偏らないように気を付けることも大切です。

週3回以上同じ食品を食べると、消化吸収できなくなる可能性があります。好きなものでも、4日に1度のローテーションで食べるよう心掛け、アレルギーになりにくい体を目指しましょう。