今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『女性の「やせ願望」・摂食障害』をご紹介させて頂きます。

「やせ型女性」が増加!

厚生労働省が公表した平成26年「国民健康・栄養調査」によると、やせている人(BMIが18.5未満)の割合は男性5.0%、女性10.4%でした。この10年間で、肥満者の割合に大きな変化は見られませんが、やせている人の割合は増加傾向にあり、特に若い世代のやせ型女性の増加が目立っています。

また、1998年度に日本学校保健会が行った調査では、女子高生の9割近く、中学生では8割以上、小学校3~4年生でも4割が「やせ願望」を持っていたことが報告されており、こうした「やせ願望の低年齢化」も、やせ型女性が増加する要因となっているようです。

世間ではスリムな芸能人やモデルがもてはやされ、「やせている=美しい」という価値観が浸透し、テレビや雑誌で頻繁に企画されるダイエット特集などを目にするうちに、まるで自分も「やせなければならない」という感覚に陥り、間違った意識を植えつけられています。

摂食障害

行き過ぎた「やせ願望」が摂食障害を招く

しかし近年、このように行き過ぎた「やせ願望」から無理なダイエットを行い、摂食障害になってしまう女性が増えているのをご存知でしょうか?

厚生労働省の発表では、1984年から2014年の30年間で摂食障害の患者数は約6倍に増加、男女比で見ると女性の割合が約90%を占め、その多くが10代後半から20代前半の女性となっています。

また芸能人や有名人も例外ではなく、世界的に有名な歌姫であるレディー・ガガや、かつてフィギュアスケート女子シングルの選手として活躍した鈴木明子さんも、過去に摂食障害で苦しんだことを告白しています。レディー・ガガは10年以上にわたって摂食障害に悩まされ、鈴木明子さんは大学時代に摂食障害になり、48キロだった体重が一時32キロまで落ちてしまったそうです。

禁煙

摂食障害とは・・・

摂食障害は、体に異常がないにも関わらず、食欲がなくなり食事がとれない状態になってしまう「拒食症」と、食欲をコントロールできずに、食べ過ぎてしまう「過食症」の2つに分類されます。

拒食症は、「もっとやせたい」「太っていると思われたくない」という気持ちがエスカレートし、まわりから見れば十分やせているにもかかわらず、「全然やせられない」「もっとやせなければ」という思いが強くなり、食べることへの罪悪感から体が食べ物を受けつけなくなってしまう症状です。

一方過食症は、食べたいのに食べられない拒食症とは反対に、異常な食欲を感じ、「食べてはダメだ」と思いつつも欲求を押さえることができず、異常な量を食べ続けるのが特徴です。

摂食障害

また過食症には、食べ物を大量に食べてしまった自己嫌悪感から、食べたものを吐き出して食べてないことにしようとする「過食嘔吐」という症状もあり、過食嘔吐が習慣化すると、胃酸によって歯が溶けたり食道に炎症がおこるなどの合併症を引き起こすこともあります。
どちらのタイプも「精神的ストレス」と「過剰なダイエット」が原因となる場合が多く、心理カウンセリングや投薬治療を受けることによって治すことができますが、本当に病気なのかを見極めることが難しいことから、一度発症してしまうと完治するまでには長い時間がかかってしまいます。

「やせ過ぎ」に警鐘を鳴らす動きも

やせ過ぎが問題になっているモデル業界では、2006年にブラジル人モデルが拒食症で亡くなったことをきっかけに、規制する方向に動いています。
スペイン、イタリアでは「過度にやせたモデルは少女達に誤った美の観念を与える危険性がある」として、BMIが18未満のファッションモデルのファッションショー出演が禁止されるようになりました。
またフランスでは、2015年4月にBMI18未満のファッションモデルの活動を禁止する法案が制定され、やせ過ぎのモデルを採用した事業者に対して最大7万5000ユーロ(約960万円)の罰金、最大6か月の禁固刑を科す法案が可決されました。
法案推進派の議員は「スリムなモデルに憧れるあまり、多くの女性が拒食症に陥っている」と問題視しており、規制を設けて女性の健康被害を防ぐのが狙いだと述べています。

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