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ドライアイはてっきり「涙不足」だと思っていた。ところが、日本経済新聞電子版の記事「女性に多いドライアイ」(2016年1月24日)によると、「涙不足」より深刻なのは、「脂(あぶら)不足」によるドライアイなのだそうだ。
ドライアイの原因とともに、「目」「まぶた」「涙」の役割やメカニズムもみてみよう。

ドライアイ

ドライアイの原因

ドライアイの原因が「脂不足」であることが知られていないのは当然で、最近の研究でようやく分かってきたことだそう。まず基本知識として押さえておきたいのは、「涙の成分」は「水」と「脂」であるということだ。「涙の水」のことを「涙液」と呼ぶ。

ドライアイは、次の3つの原因で生じる。
①涙液が蒸発しすぎる
②涙液の分泌が減る
③①と②が同時に起きる
そして、最近の研究で分かったのは、①のタイプが圧倒的に多いということだった。つまり、涙液は正常通り出ているのに、蒸発が進みすぎてドライアイになるのだ。

ドライアイの人を調査した結果、①が50%、②が14%、③が36%となった。涙液の蒸発にかかわるケースが、実に86%にものぼった。

蒸発が進みすぎてしまうのは、涙の成分のひとつ「脂」が減っているからだ。涙の成分である涙液と脂は、混ざり合っているのではなく、層を形成して分離している。涙液の層が瞳に接し、脂の層が外側を覆っている。
つまり、涙液の層の上を、脂の膜が覆っている構造なので、涙液の蒸発を脂の層が防いでいるのだ。通常は、涙液は簡単には蒸発しない。動物実験では、涙の中の脂を除去したところ、通常より20倍も蒸発が速かったという。

では、涙液と脂はどこから出てくるかというと、まぶたの奥に「貯蔵タンク」のようなものがある。「涙液の貯蔵タンク」と「脂の貯蔵タンク」は完全に分かれている。いずれの「著貯蔵タンク」にも「管」が通っていて、その管は、まぶたの裏に出口がある。つまり、まぶたの裏の出口から、涙液、または、脂が出てきて、瞳を潤す仕組みだ。

「管」には名前が付けられていて、「脂」を瞳に送る管を「マイボーム腺」、涙液を瞳に送る管を「涙腺」と呼ぶ。マイボーム腺は、上下のまぶたに計60本ほど通っている。涙の蒸発が速くなってしまうのは、マイボーム腺が異常をきたし、脂が出てこなくなるからだ。

このマイボーム腺が短くなったり、埋没してしまったりする。マイボーム腺の異常を起こす原因は3つある。ひとつ目は、「交感神経」がたかぶることだ。マイボーム腺は、「副交感神経」によって正常に保たれている。ところが「交感神経」がたかぶると、「副交感神経」は「仕事」をしなくなるので、マイボーム腺も働きが悪くなるというわけだ。

2つ目は、目の酷使だ。数10年前までは「目に悪いもの」といえば、テレビだけだった。ところが現代は、テレビに加え、パソコンやスマホ、ゲーム機など、動画を見る機会が格段に増えた。目の疲れが、マイボーム腺を障害していると考えられる。
さらに、コンタクトレンズの普及も、涙液蒸発型ドライアイに影響している。まぶたの裏と瞳の間に入れるコンタクトレンズは、絶えず、マイボーム腺の出口をふさいでいる状態だ。こうした物理的な刺激が、マイボーム腺を傷つけ、脂の供給量を減らしているのだ。

ドライアイの原因の3つ目が、性ホルモンの影響とされている。マイボーム腺は、男性ホルモンが多いと、働きがよくなる。つまり、元々、女性の方がドライアイになりやすい体質といえる。特に閉経後は、女性ホルモンも男性ホルモンも減るので、さらにドライアイになりやすい。

ドライアイ

ドライアイのチェックリスト

ドライアイの診断には、目の乾きに加え、目の疲れも重要な症状となる。実際の診察では、涙液の量や、涙の成分、瞳の表面の荒れ具合も見る。
最後に「ドライアイかも?チェックリスト」を紹介する。
□目の乾き
□朝、目が開かない
□目の疲労感
□目の充血
□目がしょぼしょぼする
□目がひりひりする
□夕方から夜にかけて見えにくい
□昼の日光がまぶしい
医療機関を受診したとき、このチェックリストを医師に見せるとよいだろう。

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