今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け! 今回は『減感作療法』をご紹介させて頂きます。

現在花粉症の薬として出ている薬はアレルギー症状を抑える対処療法で、根本的な治療ではありません。一度花粉症を発症すると毎年花粉の飛散時期につらい症状に悩まされ、長期にわたって薬を飲むことで経済的にも大きな負担となります。
アレルゲン免疫療法(減感作療法)は、スギ花粉症を改善させる唯一の治療法です。治療には3年程度かかり即効性を期待して行う治療ではありませんが、長い目で見ると経済的です。

減感作療法の方法としては二通りがあります。皮下注射による皮下免疫療法と、舌下免疫療法があります。舌下免疫療法は2014年10月から保険適応としての治療が開始されました。

花粉飛散シーズンが終わると治療を開始できますので、耳鼻科やアレルギーを専門としている病院で相談されてみてはいかがでしょうか。
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減感作療法とは

スギ花粉症は、スギ花粉がアレルゲンといわれる原因物質となって引き起こされます。減感作療法とはアレルゲンを繰り返し投与することによって、根本的な体質改善を期待する方法です。アレルゲンを低濃度で少量ずつ投与し、徐々に投与量を増やしながらアレルゲンに対する過敏な反応を減らして、アレルギー反応が起こらないよう体を慣らしていきます。
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治療の流れ

血液検査でアレルギーの原因を確認したうえで治療を開始します。

皮下免疫療法では、初めのうちは毎週、少量ずつ投与して徐々に量や濃度を上げていきます。適当な量になったら2週間に1回から月に1回へと間隔をあけ、維持量を継続して投与します。その都度注射に通院するので、時間的な余裕が必要になります。効果が現れるまでには約3か月かかります。期待される効果が得られるには3年、最低でも2年が必要とされています。

舌下免疫療法は少なくとも2年間毎日連続して舌下投与し、且つ1か月ごとに医師の診察を受ける必要があります。アレルゲンを含むエキスを1日1回2分間舌下に滴下し、2分間保持した後飲み込みます。その後5分間はうがいや飲食はできません。開始後2週間かけて少しずつ増量し、3週目以降は維持量となります。初回は病院で舌下し様子を観ますが、2回目以降は自宅で行いますので、基本的には自宅治療となります。注射法はその都度通院する必要がありますが、舌下法ならば月に一度の通院で済みます。注射による痛みがないことも利点です。

治療期間中でも花粉の飛散時期に症状があれば内服薬を飲んでも大丈夫ですが、ステロイドを含む内服薬は控えてください。ステロイドを含む外用薬(点眼、点鼻)は併用できます。
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有効性について

スギ花粉の注射による減感作療法は約80%と高い有効率を得ています。また舌下免疫療法の場合は少し劣りますが70%以上です。鼻だけでなく目にも効果があります。

安全性について

皮下免疫療法では5歳以上、舌下免疫療法では12歳以上が適応となります。
副作用としては注射法の場合は注射部位の腫れが最も多く起こります。アナフィラキシー症状は注射後30分以内に起こり、初回投与では必ず注射後も観察を続けます。維持量となっている場合には妊婦への投与も可能です。
舌下法ではアナフィラキシーなどの副作用は一般的に少ないとされていますが、口腔浮腫や口内炎症状、咽頭刺激感、口腔内の掻痒感などの症状がみられます。投与を続けるうちに軽減することが多く、治療そのものに影響することはありません。

花粉症患者は増え続け、近年では子どもの発症も増加しています。花粉の飛散時期は受験シーズンと重なることが悩ましいですね。「眠気が少ない」「1日1回」など花粉症の内服薬も年々良くなっているとはいえ、できるだけ飲みたくないと誰しも思っています。
治療に時間はかかりますが、減感作療法も選択肢の一つとして考えてみてもいいかもしれません。

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