糖原病

糖原病はどんな病気?

糖原は、「とうげん」と読み、「グリコーゲン」とも呼ばれています。糖原は、肝臓や筋肉に多く含まれており、肝臓の場合は体内の空腹時に蓄積された糖原が分解され血中に放出され、全身に利用されます。一方、筋肉の場合は短時間で大きなエネルギーとして利用する場合に分解されて利用されます。

今回は、糖原が体内で正常に機能しない病気「糖原病」について説明するので、どんな病気なのかチェックしてみましょう。

そもそも糖原病って何?
糖原病(とうげん病)とは、糖原が多く蓄積されている肝臓や筋肉からエネルギーとして利用する際に体内で正常に機能しない病気です。以下、糖原病になる原因や症状について解説していきます。

主な症状

①肝臓
・Ⅰ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅵ、Ⅸ型

糖原病には、種類がいくつかあり大きく3つに分類されてます。まず、肝臓に現れる症状としてⅠ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅵ、Ⅸ型の5つありますが、Ⅰ、Ⅲ、Ⅵ、Ⅸ型については慢性的に経過していきます。

症状としては頭がぼーっとしたり、ひどい場合には昏睡状態となる危険のある低血糖や、肝臓に糖原と脂肪が蓄積され、子どもではお腹が膨らむケースがあり、成人後では良性の肝腺腫ができて悪化する場合もあるため注意点として覚えておきましょう。その他の症状としては、低身長や肝硬変などが確認できる場合もあります。

②筋肉
・Ⅴ、Ⅶ型

次に、筋肉に現れる糖原病としてⅤ、Ⅶ型に2つがあります。症状としては、肝臓は問題なく機能しますが、筋肉量の低下、筋肉痛、筋萎縮など筋肉に対する糖原の働きが正常に機能しません。

また、急激な運動後の疲れや筋肉量の低下、筋肉腫などが認められるケースもあります。

③全身
・Ⅱ型

最後に、全身に現れる糖原病としてⅡ型があります。症状としては、肝臓と筋肉の糖原の機能不全が双方現れ、心不全などが認められる場合がある重症型となります。

主な原因

糖原病は、糖原が多く含まれている肝臓や筋肉において、糖原を体内のエネルギーとして利用する際に正常に働かない病気ですが、原因にはどういったものがあるのでしょうか?糖原病にかかってしまう原因について詳しく説明するので、確認してください。

・先天的な遺伝

肝臓と筋肉両方の全身に現れる糖原病は、ポンペ病と呼ばれグリコーゲンを分解する酵素のひとつであるα1,4グルコシダーゼが先天的に分泌されないか、グリコーゲンを分解することができずに細胞内小器官であるリソゾームに大量に蓄積されことにより心機能に障害が発生するといわれています。

どうすれば糖原病は治る?
これまで見てきたように、糖原病には複数の型があり、大きく分けると肝臓に現れる場合と筋肉に現れる場合、肝臓・筋肉双方に現れる場合の3つの種類があります。また、糖原病になる原因としては先天的な遺伝の要素が強いといわれています。では、どのように治療すればいいのでしょうか?

先天的な糖原病と診断する方法や治し方について詳しく紹介するので、ポイントをしっかりおさえておきましょう。

主な検査と診断

まず、糖原病の検査と診断方法について説明します。

・MRIやCTスキャン
・負荷試験
・酸素活性
・遺伝子検査

糖原病を判断する方法としては、主に4つの方法があります。
1つ目は、MRIやCTスキャンによって肝臓や体内に糖原や脂肪が蓄積されて肥大していないかなど異常反応を確認する方法です。

2つ目は、フェルナンデスらによって確立された負荷試験による診断です。負荷試験では食後に注目し、乳酸の上昇や空腹時と食後の血糖値の変化によって見分けます。

3つ目は、酵素活性による判別法です。酵素活性は、血液検査によって酵素の活性の状況を判別する方法です。

最後に、遺伝的要素の強い糖原病を簡単に判断する方法として行われる検査法である、遺伝子検査です。糖原病は複数の種類に分かれる病気であるため、医療機関を受診しながら種類を特定し、的確な治療を早期におこなっていく必要があります。

主な治療方法

糖原病には、複数の種類がありMRIやCTスキャン、負荷試験、血液検査による酵素活性、遺伝的な要素が強い病気を特定する遺伝子検査など様々な検査、診断法がありました。

糖原病の検査や診断によって具体的にどういった種類なのか特定することができますが、どのように治療していけばいいのでしょうか?糖原病の具体的な治療方法について紹介するので、パターン別に理解しておきましょう。

①肝臓に現れる場合
まず、糖原病の症状が肝臓に現れる場合の治療法について説明します。

・軽度の場合
・重度の場合

糖原病の症状が肝臓に現れた場合の治療法としては、軽度の場合と重度の場合で違いがあります。糖原病の症状が軽度の場合は、乳糖、ショ糖、果糖を除いた食事制限を行う事により症状の改善を目指します。

この方法は、1984年にチェン・スミットらが低血糖予防として未調整の水に溶いたコンスターチーを一定時間飲用したといわれています。また、日本では1981年に特殊ミルク安全開発委員会の発案で、Ⅰ型患者が利用できない乳糖、果糖などを取り除いたミルクを開発したといわれています。

一方、糖原病の症状が重くなり重症化した場合は、食事制限や調整などによって回復することが難しくなります。糖原病が重症化してしまった場合は肝機能自体に異常をきたしており、回復が見込まれないことから根本的な解決先として肝移植を検討しましょう。

②筋肉に現れる場合
次に、糖原病の症状が筋肉に現れる場合の治療法について説明します。

・対処療法
・激しい運動を避ける
・食事療法

糖原病の症状が筋肉に現れた場合の治療法としては、3つの方法があります。1つ目は、病気の原因ではなく症状を緩和させるために自然治癒力を高める対処療法です。

2つ目は、糖原病が筋肉に現れる場合は、激しい運動時に糖原が筋肉から消費されておこるため根本的に負担のかかる運動は避けるやり方法です。

3つ目は、糖原病に有効な高蛋白な食事の摂取を行い日々の食生活からアプローチし治療をしていく食事療法です。

③全身に現れる場合
最後に、糖原病が肝臓と筋肉の療法に現れる場合の治療方法について詳しく説明するので、確認してみましょう。

・薬剤療法
・移植

糖原病の症状が肝臓と筋肉に療法に現れる場合の治療法としては、薬剤療法と移植をする方法があります。薬剤療法とは、マイオザイムという治療薬を2週間に1回点滴を行い、1回につき3~4時間の治療を行います。

マイオザイムを医師の診断により使用する場合は、副作用など異常がないか定期的に血液検査などでチェックするのを忘れないようにしましょう。一方、糖原病の症状が重症化している場合には、根本的な治療方法として移植を検討しましょう。

糖原病が全身に現れる場合は、肝臓または筋肉が重症化している場合や、肝臓と筋肉の療法が重症しているケースがあります。筋肉では、主に心筋が重症がするケースがあるため、医療機関で検査を行い糖原病の種類を特定し、重度化している場合にはどの部分に対して移植する必要があるのかしっかりと判断するようにしましょう。