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魚鱗癬は、「ぎょりんせん」と読む皮膚の病気です。名前から想像できるように、皮膚が乾燥し、魚のウロコ状態になります。いわゆる「サメ肌」状態ですが、サメ肌とは全く別の疾患です。ほとんどの場合、先天性の病気ですが、後天的に発症することもあります。
この記事では魚鱗癬の種類と症状、原因と治療方法などを紹介します。

魚鱗癬とは?原因と症状

魚鱗癬は、遺伝性の先天性魚鱗癬と疾患した病気が原因で起こる後天性魚鱗癬があります。

先天性魚鱗癬の原因と症状

出生時または出生後数ヶ月から症状が出てきます。皮膚表面が硬くなり、ボロボロと鱗屑(りんせつ)となって落ちてきます。鱗屑とは皮膚の表面が剥がれ落ちたもののことです。全身を覆う場合もあれば、皮膚の一部の場合もあります。まぶたや口の周り、耳の周りにできると変形を伴い深刻です。完治することはありませんが、先天性の場合、学童期に症状が軽くなる場合があります。

先天性魚鱗癬の種類

1.水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症(表皮融解性魚鱗癬)
水ぶくれを伴う(感染しやすい)
2.非水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症(先天性魚鱗癬様紅皮症)
水ぶくれを伴わない
3.葉状魚鱗癬
皮膚に赤みが出ず、鱗屑が大きめ
4.道化師様魚鱗癬
固い鎧のような皮膚に覆われ、鱗屑がかなり大きい

原因

先天性魚鱗癬様紅皮症の原因は、遺伝子の異常です。ケラチンやトランスグルタミナーゼ、ABCAなどの遺伝子です。遺伝子の種類によって、先ほど紹介した4種類の異なる魚鱗癬が生じます。

遺伝子の異常によるもので、遺伝的な可能性が大きいですが、突然変異で起きる場合もあります。疾患していなくても保因者である可能性がある場合、両親ともに保因者の場合は、4分の1の可能性で、子どもに発生します。

後天性魚鱗癬

後天性魚鱗癬の原因は、甲状腺の機能が低下した状態、リンパ腫、エイズなどの疾患が原因と考えられます。その他、ニコチン酸、トリパラノールなどの薬が原因の場合もあるため、きちんと検査を受け、原因を見つけることが大切です。

魚鱗癬の治療は?

魚鱗癬が完治するような治療法はまだ見つかっていません。対症療法のみで、硬くなった皮膚をやわらかくしたり保湿したりが主な治療です。普段、皮膚をやわらかくするために使用する薬と、副作用の可能性、また魚鱗癬が原因で起こる問題とその治療について紹介します。

普段の治療薬

サリチル酸ワセリン、尿素材、活性型ビタミンD3軟膏などの塗り薬がメインです。
お風呂上がりのまだ湿度がある皮膚に塗ります。余分な塗り薬は、タオルなどで軽くたたくようにして取り除きます。ただし、塗り薬の副作用に注意が必要です。サリチル酸ワセリンは使用量が多くなると、発熱、吐き気などの症状が、また活性型ビタミンD3軟膏も血中のカルシウム濃度が上がり、倦怠感や食欲不振になる場合があります。

大人の場合は、プロピレングリコール水溶液を塗り、ラップなどで一晩追おうと鱗屑を除去しやすくなります。状況によっては、お子さんにもプロピレングリコール水溶液を利用する場合もありますが、ラップで包むことはありません。

鱗屑を除去の目的でビタミンA誘導体(レチノイド)を服用する場合もあります。小さなお子さんの場合、成長障害が起きる可能性があるため、注意が必要です。また、精子や卵子への影響があるため、服用している時期とその後数ヶ月は妊娠しないようにすることが必要です。

後天性魚鱗癬の場合は、まず原因を見つけ、原因を取り除きます。皮膚が回復するまで、保湿剤を塗り、皮膚が乾燥することを避けるようにします。

皮膚以外の症状が出る場合

健常な状態ですと気づきませんが、皮膚は体を覆い、体温を調節しています。また、皮膚の細菌やウイルスの感染からも守っています。しかし魚鱗癬で皮膚機能が低下している場合、脱水症状を和らげるための点滴や、感染をした場合は抗菌薬を服用が必要です。
手のひらや肘や膝の裏側、足の裏が硬くなりうまく動かせない状態が続くと、歩行困難や姿勢が悪くなり、成長に影響してしまう場合があります。その場合は、栄養剤などを補いをします。

まとめ

魚鱗癬についてご紹介しました。魚鱗癬には、先天性と後天性があり、どちらも角質が硬くなり、鱗屑が落ちる状態になります。治療方法は、飲み薬と保湿剤などの塗り薬を中心にした対症療法のみです。薬の副作用が出ないよう適量を意識しながら、じっくりと向き合いっていきましょう。後天性の場合は、原因を突き止め、除去すためにきちんと検査を受けてください。

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