今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!今回は『 50歳過ぎたらPSA検査!「前立腺がん」予防 』をご紹介させて頂きます。

細胞が「無秩序に」増えてゆく

「前立腺」は、男性特有の臓器です。
(1)前立腺液(精液の主成分)を作る
(2)精子に栄養を与える
(3)精子を保護する
(4)精液を押し出す
といった役割を担っています。膀胱の下側の恥骨の裏にあって、「尿道」の周囲を取り巻くように存在しています。形は「栗の実」に似ており、重さ約200グラムの小さな臓器です。

「前立腺がん」は、前立腺の細胞が無秩序に自己増殖をくり返すことで起こる病気です。50歳以降の男性に発症することで知られる「がん」の一種です。リンパ節や骨に転移することがあり、肺や肝臓などに転移するケースが比較的多く認められています。

初期は「自覚症状」がみられない

前立腺がんは、初期には症状がほとんど見られないのが特徴です。症状が、知らないあいだに静かに進んでいくのが、前立腺がんの恐ろしさです。腫瘍が大きくなると、近くにある尿道が圧迫され、
(1)尿の出方が悪くなる
(2)尿の回数が増える
(3)排尿後に違和感がある
(4)夜間の排尿の回数が多い
といった症状があらわれます。

しかし、これらの症状が見られたとしても、がん特有の様子ではないため、そこで「がん」であることを自覚する人は少ないでしょう。そのことが病気発見の遅れにつながっているといえます。やがて、がんの進行とともに、がん細胞はリンパ液や血液の流れに乗って骨に転移し、腰などに「うずくような痛み」があらわれます。さらに、「下半身の麻痺」や「血尿」が見られることもあります。

原因は「食生活の欧米化」が有力

現在、前立腺がんは、80歳以上の男性の約20%に発症するといわれています。日本における男性の罹患数(がんと診断された人の数)で、「前立腺がん」は、4番目に位置しています(1位:肺がん、2位:胃がん、3位:大腸がん)。一方、アメリカでは、「前立腺がん」は男性のあいだで、もっとも多く発症している「がん」です。

日本でも、「前立腺がん」の患者数は、ここ10年あまりで約5.8倍に急増しています。がん統計白書によると、2024年までのあいだに、日本人男性のがん患者数は、「前立腺がん」が胃がんや肺がんなどを抜いて、第1位になると予想されています。「前立腺がん」による死亡数も現在の約1.8倍に増えると見られています。

「前立腺がん」が増加している理由の1つは、「食生活の欧米化」が挙げられます。動物性脂肪の過剰摂取は、前立腺がんの危険因子と見られているからです。特に、赤身肉や乳製品の多量摂取が大きく影響しているようです。他にも、遺伝(家族歴)、加齢、男性ホルモンの関与が指摘されています。しかし、前立腺がんの決定的な原因は、今のところ明らかになっていません。

50歳を過ぎたら「PSA検査」

男性は、50歳を過ぎたら、前立腺がんの可能性を見つける「PSA検査」の受診をおすすめします。PSAとは、Prostate Specific Antigen(前立腺特異抗原)の略で、前立腺から分泌されるタンパク質の一種です。前立腺に異常があると、PSAが血液中に大量に放出されて濃度が高くなります。その特性を活かして、前立腺の障害を発見しようとするのが「PSA検査」です。

「PSA検査」は、採血によって、血液中にある「PSA」の値を測定することで、前立腺がんや前立腺肥大症などの病気を、従来の検査にくらべて早い段階で発見することが可能です。PSAの正常値は年齢によって異なりますが、基準を超えて高い状態では、高い確率で「前立腺がん」の疑いが持たれるでしょう。

1年に1度は「PSA検査」を受けよう

前立腺がんは、自覚症状がほとんどないため、発見が遅れることが多い病気です。これまで、自覚症状が出てから「泌尿器科」を受診した場合、ほかの臓器への転移が確認されるケースは約40%といわれてきました。

しかし、「PSA検査」を受診することで、前立腺がんの早期発見がかなり期待できます。すると、治療の選択肢が増えるなど、その後の経過に大きな影響が及ぶでしょう。また、前立腺がんの進行度合いを知る手立てにもなるため、ほかの組織への転移を防ぐ、生命の危機を回避するなど、十分に成果のある検査です。1年に1度は、PSA検査を受けるとよいでしょう。

また、前立腺がんの原因に「食生活の欧米化」が挙げられることから、予防にはバランスのよい食生活が大事になるでしょう。動物性脂肪、塩分、乳製品を控え、ビタミンやβカロチンを含む野菜、豆類を積極的に摂るように心がけます。

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