今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!今回は『指の「ささくれ」は、なぜできるの? 』をご紹介させて頂きます。

小さくても「痛み」は大きい

指の「ささくれ」は、爪の周囲や根元の角質が、自然と部分的に細かく裂けて、めくれあがる皮膚の病気です。見かけは地味で、とても小さな傷ですが、痛みは涙が出るほど大きいのが特徴です。地域によっては、「さかむけ」と呼ばれることもあります。

「ささくれ」は、手洗いや水仕事ではピリピリ沁みて痛く、着替えのときは服の繊維に引っかかって叫びたくなるほどの激しい痛みが走ります。引っかかったときは、めくれた皮膚が、さらにめくれて症状が酷くなることは珍しくありません。

だからといって、無理に剥がそうとするには、相当の勇気と覚悟が必要でしょう。しかし、黙って放っておくと、広がることがあります。それに、「ささくれができる人は親不孝だ」と、いわれのない疑いをかけられることもあります。やっかいな病気です。原因は大きく3つ挙げられます。

ささくれの「いちばん」の原因

ささくれは、冬になると発生することが多い症状です。気温が低くなって、空気が乾燥する季節になると、いつのまにか、指に「ささくれ」が見られるようになります。冬に多く見られることから、やはり、ささくれができる原因の1つは、「乾燥」です。

私たちの皮膚は、ふだん「水分」と「脂分」によって守られています。皮脂腺から分泌される「皮脂」と、汗腺から分泌される「水分」が乳化して「皮脂膜」を作り、皮膚の表面を保護しているのです。ところが、空気の乾燥が進むと、肌の水分が失われて、皮脂膜が思うように作られなくなります。そこで手荒れが起こり、弱い爪の周囲の皮膚から「裂け目」が発生するのです。

また、冬場は、手洗いや水仕事に「お湯」を使うことが増えるでしょう。すると、水分の蒸発は通常よりも進み、皮脂膜は剥がれて「ささくれ」の発生を引き寄せます。さらに、そこへ石鹸や洗剤などの刺激が加わると脂分も失われてしまいます。指先の肌荒れは、ますます起こりやすくなるでしょう。

なぜ、「親不孝」と呼ばれるのか?

ささくれができる原因の2つめは、「栄養の偏り」です。生活習慣が乱れて、栄養の偏り(バランスの悪い食事)や栄養不足がくり返されると、「ささくれ」ができやすくなります。

人間の皮膚は「タンパク質」で構成されています。そして、健康な肌を保つには、
(1)ビタミンA
(2)ビタミンB2
(3)ビタミンE
(4)ミネラル
などの栄養が必要です。特に、ビタミンAは、皮膚の新陳代謝を活発にする、肌の潤いを守る、肌の老化を防ぐ、といった作用があります。

昔から、「ささくれ=親不孝」といわれますが、それは、親の言うことを聞かずに、夜更かしや不摂生を続けると、体調を崩して「ささくれ」になるため、といわれています。乾燥と栄養が不足した皮膚には、自然と「ささくれ」は起こりやすくなるでしょう。

ネイルを「よく変える人」は注意して!

ささくれができる原因の3つめは、「ネイル」です。女性にささくれが多いのは、「水仕事」と「ネイル」の影響といわれています。ネイルを落とすための「ネイルリムーバー(除光液)」がささくれの発症につながっています。

多くのネイルリムーバーのなかには、「アセトン」と呼ばれる成分が含まれています。アセトンは、脂をよく溶かす性質を持った有機溶剤です。この性質を活かして、塗装器具の洗浄やネイルの溶剤に使われています。

しかし、アセトンが頻繁に皮膚に付着すると、その性質上、指先の脂分を溶かしてしまうことになります。すると、皮膚のバリア機能が失われ、ささくれのリスクは高まります。特に、ネイルチェンジが多い人は、注意が必要です。最近では、アセトンが入っていないネイルリムーバーが販売されています。パッケージに「アセトンフリー」の文字を探して試してみるとよいでしょう。

細いハサミで「根元から」カット

ささくれは、放置していると、傷口からばい菌が入り込み「化膿する」こともあります。化膿すると、治るのに時間がかかるだけでなく、症状が進んで「ひょうそ」や「爪周囲炎」など重症化するケースがあります。

ささくれが見られたら、先の細いハサミやニッパーで根元からカットし、患部に保湿クリームをよく塗って潤いを保つようにします。そして、十分な睡眠とバランスのよい食事を摂るよう心がけましょう。

手洗いでは、約33〜35度のぬるま湯を使います。手を洗ったあとは、しっかり水気を拭き取ることも大事です。水仕事は手ゴム袋を着用し、念のため、刺激の少ない洗剤を用いるようにします。ささくれがあると、せっかくのネイルも美しさが半減します。冬場だけでなく、指先の保湿ケアに注意を払うとよいでしょう。