本記事の監修医師

かなもり眼科クリニック・金森院長先生

今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!今回は『 高いといけない!「眼圧」ってなに? 』をご紹介させて頂きます。

眼球を満たす「水」とは?

人間の眼のなかには、眼球を満たす「房水」と呼ばれる体液があります。「房水」は、
(1)角膜・水晶体・硝子体などに栄養を届ける
(2)老廃物を排出する
(3)眼球の形を保つ
といった役目を果たしています。いわば透明な血液といった感じです。

私たちは、指の腹でまぶたの上から眼を軽く抑えると、軟らかいボールのような弾力を感じるでしょう。それは「房水」が一定量で絶えず循環しているからです。そして、この弾力の強さ(つまり眼の硬さ)を「眼圧」といいます。

なぜ、眼圧は「高く」なるのか?

房水は、眼のなかにある「毛様体(遠近のピント合わせを調節する組織)」という組織で作られています。そして、「虹彩」と「水晶体」のあいだを通り、角膜と虹彩の接点である隅角という部分を通って、房水の排出を調節する「シュレム管」から、眼の外にある血管(静脈)へ吸収されています。

健康な眼は、房水の循環する量がだいたい定まっています。ところが、何らかの理由で、排出される量が減るす、眼のなかに房水が溜まり「眼圧」が高くなります。この状態を放っておくと、眼にさまざまな障害が起こりやすくなります。特に気をつけないといけないのは「緑内障」です。


日本人の「平均眼圧」は?

眼圧の正常値は、日本人で「10~21mmHg(ミリメートル水銀柱)」です。正常値に幅が設けてあるのは、眼圧が1日のあいだでも時刻によって値が変化するからです。血圧が1日のなかで変動する様子と似ています。日本人の平均眼圧は、現在のところ「14.5 mmHg」と発表されています。

眼圧が高くなり過ぎると、眼球が硬くなり「視神経」に障害が起こりやすくなります。視神経は、眼球と大脳をつなぐ約100万本の神経線維の束です。網膜に映った像を電気信号に変えて脳に送る大事な神経です。そして眼圧が高くなり、これらの神経が圧迫されると「緑内障」へのリスクが高くなります。

緑内障で「失明のリスク」もある

「緑内障」は、眼圧が異常に高くなることで、視神経に障害が起こる眼の病気です。初期においては自覚症状がなく症状が進行し、やがて

(1)視野が狭くなる

(2)視力がおちる

といった症状が起こります。

日本国内では、40歳以上の約5%、つまり20人に1人の割合で発症するといわれています。全国で約200万人以上の患者が存在すると推定されています。しかし、緑内障の怖さは、初期から中期の症状において自覚症状を感じられないところです。

緑内障のなかには、知らないあいだに、長い時間をかけて少しずつ症状が進行するタイプが多いです。特に眼圧が高くなくても視神経が弱いために眼圧が正常でも緑内障になる方(正常眼圧緑内障)が日本人の緑内障の70%を占めるとされています。眼圧が正常だからといって、緑内障にならないことは全くありません。逆に、視神経が強い方は多少眼圧が高くても緑内障にならない人もいます(高眼圧症といわれます)。

一度失われた視野は改善することはないので、治療をせずに症状が悪化すると、失明の恐れもあります。日本人の失明原因の一番は緑内障です。約200万人以上と推定される発症者のなかでも、約80%の人は、自分が緑内障であることに気づいていないといわれています。


「定期的に測定する」ことが大事

眼圧は、血圧のように、毎日手軽に家庭で測定することはできません。40歳を過ぎたら、定期的に「眼科」の検診を受けることが大事です。また、眼の痛み、疲れ、視力の低下、視界の異常などを感じたら、「眼科」を受診し、専門医に相談しましょう。

眼圧の測定は、角膜に空気やセンサーを当てて、眼球の固さ(眼圧)を測るのが一般的です。眼圧が高いと認められると、

(1)房水を排出するシュレム管の状態を調べる「隅角検査」

(2)視神経の状態を調べる「眼底検査」

などを行うことになるでしょう。

【この記事の監修・執筆医師】

かなもり眼科クリニック

金森 章泰 院長先生

〒673-0891 兵庫県明石市大明石町1-6-1 パピオスあかし3F

TEL:078-911-1146

<参考>

かなもり眼科クリニック 公式ホームページ

かなもり眼科クリニック ホスピタ・病院紹介ページ


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