今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!今回は『 5人に1人が抱える悩み「慢性疼痛」とは? 』をご紹介させて頂きます。

ズキズキ「うずくような」痛みなら

ケガや病気などによって体に起こる「痛み」には、さまざまな種類があります。痛みは「体の警告信号」ともいわれ、体内の異変や異常を知らせる大事なサインです。私たちの体内には神経が張り巡らされ、その末梢神経にあるセンサーによって、さまざまな刺激を「痛み」というサインとして感じることができます。

「疼痛(とうつう)」とは、ズキズキ、ジンジン、ヒリヒリなど、うずくように感じる痛みです。おもに、首・肩・腰・膝などに起こります。つらい痛みに伴い、
(1)しびれる
(2)つっぱる
(3)だるくなる
など不快な異変が体にあらわれることがあります。このような疼痛が、1~3ヶ月以上続く状態を「慢性疼痛」といいます。

「5人に1人」が経験する痛み

現在、日常的に「慢性疼痛」を抱えて悩む人は、全国に約2700万人にいると推定されています。これは、約5人に1人が「慢性疼痛」を経験している計算にあたります。それでも、通院して治療を受けている人は、そのうちの約36%に過ぎないといいます。痛みがあっても「つい我慢してしまう」という人が多いのは、慢性疼痛患者の特徴といえるかもしれません。

ですが、痛みが長期間続くと、体だけでなく、精神にも大きな影響があらわれるものです。いつしか否定的な感情や思考が浮かび上がり、普段の活動を制限するようになり、そのことで筋肉や神経が弱くなって、膝や腰への負担が増して体の調子がさらに悪化する、といった悪循環に陥るケースがよく見られます。「慢性疼痛」を引き起こすのは、こういった「痛みへの過剰な我慢」が1つの要因ではあるでしょう。

3種類の「慢性疼痛」とは?

疼痛は、大きく
(1)侵害受容性疼痛
(2)神経障害性疼痛
(3)心理社会的疼痛
の3つの種類に分けられます。「侵害受容性疼痛」は、切り傷、挫傷、骨折など、体の組織の損傷・刺激・炎症を末梢神経が感じて起こる痛みです。他には、関節リウマチ、椎間板ヘルニア、ぎっくり腰、がんの痛みなどが挙げられます。

「神経障害性疼痛」は、神経やその周囲に障害、圧迫、炎症が起こって感じる痛み・しびれです。坐骨神経痛、腰痛症、帯状疱疹後の神経痛、糖尿病による神経障害などが挙げられます。慢性疼痛の4人に1人は「神経障害性疼痛」といわれています。

そして「心理社会的疼痛」は、以前は心因性疼痛と呼ばれていた症状です。器質的要因などの配慮から国際疼痛学会(IASP)によって改名されています。仕事、学校、家庭生活などで感じるストレスによって起こる痛みです。
(1)疎外感
(2)喪失感
(3)自己否定感
(4)対人不信
などが影響して、痛みに関する脳の部位が活性化していると考えられています。

「市販の鎮痛薬」は期待できない

「慢性疼痛」は、市販の鎮痛薬では改善への効果がみられないケースがほとんどです。足腰などにうずくような痛みが長く続いているようなら、早めに「心療内科」、「整形外科」、「リウマチ科」を受診し、専門医に相談しましょう。

診察では、問診と合わせて、筋力、反射、知覚MRIなどの画像、血液などの検査を行うのが一般的です。神経障害の部位を確認したうえで診断が確定します。治療は「薬物療法」から始めることが多いでしょう。薬剤には、
(1)NSAIDsなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬
(2)アセトアミノフェン
(3)神経障害性疼痛治療薬
(4)オピオイド
(5)鎮痛補助薬
などを使用します。

症状によっては、神経に局所麻酔を注射して痛みを改善する「神経ブロック療法」を用いることがあります。薬物療法や神経ブロック療法による効果が期待できないときは、外科手術が検討されます。

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