その胸の痛みは「食道裂孔ヘルニア」かも?

今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!今回は『その胸の痛みは「食道裂孔ヘルニア」かも?』をご紹介させて頂きます。

胃の一部が「胸部にはみ出す」病気

「ヘルニア」とは、体の組織が正しい位置から飛び出てしまった状態をいいます。椎間板(背骨と背骨のあいだのクッション)の中心にある髄核が飛び出し、 激しい腰痛や脚のしびれをともなう「椎間板ヘルニア」がよく知られています。

このように、「食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニア」も、内臓(胃)の一部が正しい位置を離れ、腹膜を覆ったままで、腹壁のすきまから飛び出て、胸部に入り込んでしまう症状です。
(1)50歳以上の人
(2)肥満気味の人
(3)背中が丸い人
(4)喫煙者に比較的多い
病気といわれています。

食道裂孔ヘルニアは「3つ」のタイプ

人間の胸部と腹部のあいだには「横隔膜」と呼ばれる筋肉の膜があります。横隔膜には、3つの孔(あな)が開いており、それぞれ
(1)食道
(2)大動脈
(3)大静脈
が通っています。食道が通る孔を「食道裂孔」と呼びます。

本来、食道裂孔には食道と胃の境が固定されています。いわばそれが正しい位置です。ところが、その固定が緩んで、胃の一部が食道裂孔を通って胸の方(上側)にまで飛び出して(入り込んで)いる状態が「食道裂孔ヘルニア」です。

食道裂孔ヘルニアには、3つのタイプがあります。それぞれ、
(1)噴門(食道と胃のつなぎ目)がそのまま胸部にはみ出ている「滑脱型」(2)胃の一部が食道のわきを通ってはみ出ている「傍食道型」
(3)両方が合わさった「混合型」に分類されています。

患者の約50%以上に「逆流性食道炎」が見られる

食道裂孔ヘルニアそのものには、自覚症状はほとんど感じられません。しかし、ヘルニアのタイプによって、ほかの病気を引き起こすことが心配されます。「滑脱型」では、噴門が胸部にはみ出しています。噴門は、食べ物を飲み込んで食道に入ると反射的に開き、それ以外のときは食道を閉めて、胃の内容物が逆流しないようにする仕組みを持っています。

ところが、噴門がはみ出し、その仕組みが働かなくなるため、食道と胃の間のしまりが緩み、胃の内容物が食道に戻りやすくなります。胃酸が逆流して「胸焼け」や「強い胸痛」が起こるでしょう。これは「逆流性食道炎」という症状です。逆流性食道炎は、食道裂孔ヘルニア患者の約50%以上でみられます。さらに、前にかがむ、りきむ、重い物を持ち上げる、といった行為で症状が悪化します。

「傍食道型」では、胃の一部が食道のわきを通ってはみ出ています。噴門は正しい位置にあるため逆流性食道炎の心配はありません。しかし、ヘルニア部分が胃を締めつけているため、食べ物の通過障害がおこり、そのせいで胃粘膜からの出血が見られることがあります。

そしてどちらも、症状がひどくなると、「臓器のねじれ」や「肺や心臓への圧迫」から、嘔吐、呼吸困難などの症状が起こる恐れがあります。

「肥満」や「姿勢の悪さ」も原因になる?

食道裂孔ヘルニアは、
(1)肥満による内臓への負担
(2)気管支喘息や慢性気管支炎などの病気
(3)背骨が曲がった悪い姿勢、などでお腹の圧力が高い状態が続くことが原因の1つに挙げられています。

その他にも、先天性(生まれつき)によるもの、加齢による食道裂孔の緩み、によっても食道裂孔ヘルニアを引き起こすケースがあります。

「胃腸科」や「消化器科」を受診する

胸焼け、胸痛が続くようなら、「食道裂孔ヘルニア」の疑いがあります。アルコール、カフェイン、油ものを控える、食後すぐに横にならない、など胃酸の逆流を防ぐ対処をしましょう。そして早めに「消化器外科」、「胃腸科」、「消化器科」のいずれかを受診し、専門医に相談します。

診察では、内視鏡検査、バリウム検査、CT検査などを実施し、ヘルニアの状態を確認したうえで、診断が確定します。治療は、積極的方法がなく、症状を改善するための薬物治療(胃酸の逆流を抑える内服薬など)を行うのが一般的です。

胃酸の逆流が完治すまで、
(1)タバコを吸わない
(2)窮屈な衣服を着ない
(3)コーラなど酸を含む飲み物を摂取しない
(4)タマネギや香辛料の強い食べ物を摂らない、あるいは制限する
など、生活習慣の改善を求められます。

また、症状の改善が見られないようなら、胸部にはみ出した胃の一部を腹部に戻す「外科手術」が検討されます。負担の少ない「腹腔鏡」を使い、食道裂孔を縫い縮める手術です。

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