今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!今回は『突然起こる急なめまい「前庭神経炎」について』をご紹介させて頂きます。

「前庭神経」は体のバランスを保つ器官

私たちの耳は、「音を聞く(聴覚)」と「バランスをとる(平衡感覚)」の2つの働きを持っています。聴覚は「蝸牛(かぎゅう)」と呼ばれる器官が担当し、平衡感覚は「前庭」と呼ばれる器官が担っています。この2つは、内耳のなかにある器官です。

外耳、中耳を通して入ってくる情報は、聴覚に関するものであれば、蝸牛神経を通り、平衡感覚に関するものであれば前庭神経を通って、それぞれ脳へ伝えられます。

「前庭神経」は、体のバランスを保つために働く神経です。内耳と脳をつなぐ器官で、三半規管(平衡感覚をつかさどる器官)などで感じた情報を受け取り、脳に伝えることで、私たちの体は、倒れたりせず、まっすぐに保つことができています。

グルグル「回転するような」めまい

「前庭神経炎」は、前庭神経の炎症によって、突然「激しいめまい」の発作が起こる病気です。人間の体は、左右の耳にある「前庭神経」からの情報を脳幹で統合して、平衡バランスを保つように機能されています。しかし、片方の前庭神経が炎症すると、情報が左右でバラバラになり、体のバランスが崩れてしまいます。そこで「回転性めまい」が引き起こされます。

回転性めまいとは、自分自身や周囲のものが、グルグルと回るような感覚におそわれる症状です。横になっていても治らず、動くとさらに悪化します。さらに、めまいといっしょに「つらつき」や「吐き気」が生じます。「前庭神経炎」は、これらの症状が数日間、断続的に続くのが特徴です。発症して数日は歩行が困難になることがあります。外出はできるだけ控えたほうがよいでしょう。難聴や耳鳴りが起こることはありません。

■早めに「耳鼻咽喉科」を受診

「前庭神経炎」は、風邪をひいたあとに症状を引き起こすことが多く、ウイルス感染が原因と考えられています。しかし、現在までに詳しい原因については明らかになっていません。血行障害(血液の循環障害)を原因に挙げる専門家もいます。

グルグルと回転するようなめまいが続くようなら、「耳鼻咽喉科」を受診し、専門医に相談しましょう。診断では、問診に加え、聴力検査や眼振検査(眼の動きをみる検査)などが実施されます。めまいの原因が腫瘍でないことを確認するために、MRI(磁気共鳴画像)検査を行うことがあります。

「安静」と「薬の服用」で治る

「前庭神経炎」の治療には、まずは安静が大切です。体を休め、神経を落ち着かせることが大事です。治療には、症状にあわせてステロイド薬などを服用する「薬物治療」が行われます。

回転性めまいを緩和するために、メクリジンなど「抗ヒスタミン薬」が処方されるでしょう。また、神経の血流を促す「内耳循環改善薬」を処方することがあります。吐き気や嘔吐がひどいときは、内服薬ではなく、注射による投与が検討されます。

めまいは「約3週間」で治る

適切な治療をはじめると、症状は日ごとに改善されるでしょう。回転性めまいがやわらぐには、数日から数週間かかります。そこは症状の程度によって異なります。多くの人は、治療から約3週間でめまいはほぼ治まります。

ただし、その後も「ふらつき」や「めまいが生じているような感じ」が6ヶ月前後続くことがあります。完治するまで、日常生活では十分な注意が必要です。

完治すれば、再発することはまずありません。薬物治療とあわせて、専門的な「リハビリ」や「体操」を行うと、回復が早くなるといわれています。その方法を医師や理学療法士に教わり、完治まで習慣化するとよいでしょう。

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