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今回は『汗をかくとかゆくなる「コリン性蕁麻疹」とは?』をご紹介させて頂きます。

汗をかくと起こる蕁麻疹

体温が上昇して汗をかくと、かいた皮膚に「蕁麻疹(じんましん)」ができる病気を「コリン性蕁麻疹」といいます。刺激によって誘発されるタイプの蕁麻疹で、発汗作用が刺激となって体に赤い発疹があらわれます。

蕁麻疹といえば、細菌やウイルス、あるいはサバやアジなどの青魚や、エビやカニといった甲殻類など食べ物による原因が一般的です。ところがコリン性蕁麻疹は、
(1)気温が高いとき
(2)運動したあと
(3)お風呂あがり
(4)熱いものを食べたとき
(5)辛いものを食べたあと
(6)緊張しているとき
(7)お酒を飲んだあと
などに発疹が起こるのが特徴です。

激しい「かゆみ」と「痛み」が起こる

蕁麻疹はたいへん種類の多い病気です。コリン性蕁麻疹は、蕁麻疹患者のうちの約5%といわれています。汗をかいたときに、汗の出た箇所に約1~5mmの小さな赤い膨らみがあらわれます。そして、その数が増えてくると、発疹が合わさって、地図のような大きな赤みになるのが特徴です。

発疹は、腕、足、背中、首、顔面など体の広い範囲に起こる可能性があります。激しいかゆみが起こるのが一般的で、ときにはピリピリした痛みや、チクチクと針で刺されたような痛みを伴うことがあります。発疹が体にあらわれている時間は、そう長くはありません。

汗をかかない「冬こそ注意して」

コリン性蕁麻疹は、年齢が10〜30代と若年層に多く発症します。活動的で、スポーツをするなど日常的に汗をかく機会が多い若い世代にとっては、やっかいな病気といえるでしょう。

また、汗をかきやすい夏に症状が増える印象がありますが、実際はほとんどの患者は冬に悪化しています。夏は日常的に汗をかいているため汗の出口(汗孔)が開いていますが、冬はほとんど閉じているため、汗が皮膚にとどまりやすく、発汗時に蕁麻疹が起こりやすくなります。最近は、冬になると室内や電車などはエアコンで温かく保たれており、知らないうちに汗をかくことがあります。冬こそ注意が必要です。

原因は解明されていないが

コリン性蕁麻疹の原因は、今はまだ、すべてが解明されているわけではありません。しかし、人が発汗した時に分泌される「アセチルコリン」という物質が刺激として関わっていることは分かっています。

アセチルコリンは、副交感神経系や運動神経の末端から放出され、発汗を促す働きのある神経伝達物質です。汗をかくことによって、皮膚などの組織に広く散らばるマスト細胞(肥満細胞)が活性化します。すると、「ヒスタミン」というかゆみを引き起こす物質が放出されます。これが蕁麻疹につながるといわれています。

治療は「皮膚科」や「アレルギー科」で‥

原因が明らかでないことから、今のところ特効薬はありません。ヒスタミンを抑える「抗ヒスタミン薬」などを処方してもらい、蕁麻疹の症状を緩和する治療が多いでしょう。そして、日常生活のなかで次のような対処を心がけ、症状の悪化を防ぐ注意が必要です。

・汗をかいたらこまめに拭く
・かゆみが出たら皮膚を冷やす
・辛い食べ物は控える
・熱いお湯に長時間浸からない
・熱い飲み物やアルコールは控える
・冬場は室内の温度に気を配る

コリン性蕁麻疹は、年齢を重ねるごとに症状が緩和する病気といわれています。個人差はありますが、30代を過ぎると治る傾向が高いようです。「皮膚科」や「アレルギー科」の医師と相談して、焦らずに治療をすすめて行くのがよいでしょう。

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