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今回は『急なダイエットで起こる?「耳管開放症」とは?』をご紹介させて頂きます。

耳管が「開きっぱなし」になる病気

「耳管開放症」とは、通常は閉じている「耳管(耳・鼻・のどをつなぐ管)」が、開いたままになり、さまざまな症状が起こる病気です。人間の耳管は、普段は閉じていますが、ツバを飲み込む、あくびをするといったタイミングで、開放する仕組みになっています。開放するのは、中耳(鼓膜の奥の空間)の圧力(内圧)を調整するためです。

ところが、耳管を開いたままになると、めまい・耳鳴り・聴力低下などの症状があらわれます。そして症状が続くと、精神的なストレスがたまり、日常生活を普通に過ごすことが困難になるでしょう。耳管開放症は、無理なダイエットのあとや、妊娠のタイミングによって起こりやすいことから、男性より女性にやや多く発症するといわれています。

自分の「話し声」が頭に響く

耳管開放症の症状は、おもに
(1)耳閉感
(2)自声強聴
(3)自己呼吸音聴取
の3つが挙げられます。「耳閉感」は、耳がこもる感じ、耳がふさがった感じとともに、頭がボーッとする症状が見られます。耳への空気の出入りがうまくいかない状態で、この症状は中耳炎などでも見られます。

「自声強聴」は、自分の話した声が耳や頭のなかで、グワングワンと大きく響いて聞こえる症状です。耳管開放症にかかる患者の約90%が経験するといわれています。他人の話し声が聞き取りづらく、日常的な会話にも支障が出ることでしょう。

「自己呼吸音聴取」は、常に自分が息を吸っている(呼吸している)音が聞こえる症状です。耳管開放症のみで見られる特徴的な症状といえるでしょう。呼吸にあわせて、鼓膜を内側から叩かれるような音が聞こえます。他にも、頭痛、めまい、肩こりなどに悩まされることがあるでしょう。

急なダイエットで「耳の脂肪」が痩せて起こる

耳管開放症の原因は、さまざまありますが、大きなものとして「急激な体重の減少」が挙げられます。急激に体重が落ちると、耳管のなかを適度に締める役割の「耳の脂肪細胞」もあわせて痩せてしまうため、常に耳管が開いた状態になることがあります。急なダイエットや病気・手術などのあとに、耳管開放症を経験する人が多いのは、そのためです。

その他にも、
(1)疲労
(2)睡眠不足
(3)ストレス
(4)手足の冷え
(5)低血圧
(6)血行不良
(7)妊娠
(8)女性ホルモンの影響
(9)避妊ピル(経口避妊薬)の服用
(10)中耳炎
など耳の病気の後遺症、といった幅広い原因によって発症しています。そのため、原因が特定しづらいケースも少なくありません。

効果の高い「漢方薬」治療も!

耳閉感、自声強聴、自己呼吸音聴取といった症状を感じるようなら、すみやかに「耳鼻咽喉科」を受診しましょう。診断は、耳鏡、顕微鏡、内視鏡などによって鼓膜を観察したうえで判断されるでしょう。

耳管開放症は、決定的な治療法がありません。症状が軽いうちは、「自然治癒」をすすめられる場合がほとんどです。ストレスや過度なダイエットが原因の大半であるため、「生活スタイルの改善」が指導されます。
(1)適正な体重へ誘導するための食事指導
(2)十分な水分補給
(3)耳周辺の血流を促進させるマッサージ
(4)適度な運動
などについて詳しい説明があるでしょう。効果の高い(約70%の患者に改善が見られたとする報告もあります)「加味帰脾湯(かみきひとう)」という漢方薬を使った治療をすすめる医師もいます。

症状が軽〜中度であれば、
(1)生理食塩水を点鼻する
(2)硼酸とサリチル酸を耳管に噴射する
(3)耳管にカテーテルを通して空気を入れる
(4)鼓膜にパッチを貼る
などの治療がはじめられるでしょう。症状が重度の場合には、「外科治療」が検討されます。治療後に症状は軽くなりますが、根本的な改善ではありません。症状の軽快から回復を期待します。

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