出産時の赤ちゃんの骨折「分娩時骨折」について

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今回は『出産時の赤ちゃんの骨折「分娩時骨折」について…』をご紹介させて頂きます。

全分娩の「約1〜2%」に起こる骨折

どのような形であれ、簡単な出産というのはおそらくないのでしょう。産道が小さすぎる、胎児が大きすぎる、へその緒が首や体に巻きついている、などが原因で、分娩時にはさまざまなトラブルが起こるものです。

その1つに挙げられるのが「分娩損傷」といって、多くの赤ちゃんが、生まれるときに何らかの軽いケガ(外傷)を負う事態です。ほとんどの場合、治療の必要はない程度のケガで済みます。

しかし稀に、大きな障害につながることがあります。「分娩時骨折」とは、分娩のときに赤ちゃんが受ける骨折です。赤ちゃんが産道を通るときの圧迫や、難産でやむを得ず外から吸引する、引っ張る、引き出すなどの行為が原因で骨折が生じます。「分娩時骨折」は、全分娩の約1〜2%の割合で発生しているといわれています。

分娩時骨折は「緊急処置」で起こりやすい

赤ちゃんは、生まれてくるときに、屈曲した産道のなかや、狭い骨盤のあいだを通り抜けてやって来ます。産道をスムーズ通過するために、産道にあわせて自分の体をうまく回転(回旋)させながら降りてきます。

ところが、赤ちゃんがうまく回転できない(旋回異常)などの状態で正常分娩が難しくなると、お産が長引き、難産となります。すると、赤ちゃんやママの状態などを十分に考慮して、医師から「吸引分娩」や「鉗子分娩」といった緊急処置の手段が、やむなく選択されることになります。

「吸引分娩」とは、吸引器を使って赤ちゃんを誘導する方法です。赤ちゃんの頭にシリコン製(あるいは金属製)の丸いカップを密着させ、吸引圧をかけることで赤ちゃんを外に引き出す分娩方法です。「鉗子分娩」とは、鉗子(かんし)と呼ばれる2枚のヘラを合わせたような外科手術用具を使います。鉗子で赤ちゃんの頭を挟み、ママのいきみに合わせて引き出す分娩方法です。

これらの手段によって、ときには
(1)鎖骨骨折
(2)頭蓋骨骨折
(3)上腕骨骨折
(4)脊椎骨折
といった「分娩時骨折」が起こることがあります。そのなかでも、「鎖骨骨折」と「頭蓋骨骨折」は、比較的発生頻度の高いケースといえるでしょう。

気づかれにくい「鎖骨骨折」

赤ちゃんの鎖骨骨折は、分娩時骨折のなかで、もっとも多く見られる損傷です。出産の際に、首周辺が圧迫されたこと、あるいは首が過剰に引き伸ばされたことによって発生することが多いようです。ところが、出産後に骨折が気づかれず、見逃されているケースは少なくありません。

赤ちゃんが、手をあまり動かさない、腕を触ると泣くといった様子が見られたら、骨折の疑いがあります。赤ちゃんによっては、腕を触らなければ痛がる様子を見せない子もいます。普段の十分な観察が大事です。

鉗子分娩で起こりやすい「頭蓋骨骨折」

赤ちゃんの頭蓋骨骨折は、分娩時に起こる損傷としては、頭蓋骨にひびが入る「線状骨折」が多く、すべての分娩の約5〜20%に見られるといわれています。しかし、ほとんどの赤ちゃんに痛みなどの症状はなく、特に治療の必要がない「自然治癒」が期待できます。

また、頭蓋骨骨折のうち、鉗子分娩によって頭蓋骨の「陥没骨折」が発生することがあります。この場合、脳への圧迫や損傷が強いと判断されると、脳挫傷などの疑いが持たれ、外科手術などの治療が必要になるでしょう。

赤ちゃんの骨折は「治るのが早い」

赤ちゃんの様子に気になるところが見られたら、すみやかに「小児科」や「小児外科」を受診し、専門医に相談しましょう。分娩時骨折では、大きな症状(麻痺、けいれん、呼吸障害、排尿・排便障害など)が見あたらなければ、一般的に子どもの自然治癒力に期待する「経過観察」が実施されるでしょう。

赤ちゃんの骨は柔らかく、骨折から1週間ほどで接着がはじまります。分娩時骨折でも、ほとんどケースは短期間に治ります。ただし、骨折の程度によっては、固定や保護を目的に、つり包帯、ギプスなどを一定期間使うことがあります。

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