今注目が集まっている医療や健康情報を病院検索ホスピタが厳選して分かりやすくお届け!
今回は『なぜ、子どもは「乗物酔い」になりやすいの?』をご紹介させて頂きます。

ママも「遠足のバスが苦手だったなぁ」

外で過ごすのが気持ちのよい季節になりました。週末や連休などを利用して、家族でお出かけする機会も増えることでしょう。そうなると、少し心配なのが「子どもの乗り物酔い」です。せっかくの楽しい外出だけど、自動車や電車で移動するたびに、子どもにつらい思いさせたくありません。

「そういえば、わたしも遠足のバスが苦手だったなぁ…」と、あの頃を懐かしく思い出すママも、きっと多いことでしょう。家族で旅行に出かけたり、学校の友だちと遠足に行ったりするのは楽しみだったけど、長い時間、車や電車に乗ることを思うと気が滅入ったものです。いまはまったく平気なのに、なぜ、子どものときは「乗物酔い」になりやすかったのでしょう。

医学的には「動揺病」と呼ばれる病気

乗り物酔いは、乗車する手段によって「車酔い」、「電車酔い」、「船酔い」、「空酔い」などと呼ばれていますが、医学的には「動揺病」や「加速度病」といわれる症候群の1つとして区分されています。

乗り物ごとの、
(1)独特の揺れ
(2)不規則なスピードの加速や減速
(3)右折・左折などの方向転換
によって、体の平衡感覚や自律神経に乱れが生じることで、めまい、吐き気、嘔吐、冷や汗、生あくび、顔面蒼白、手足の冷感、頭痛などの症状があらわれます。

原因は「三半規管」や「小脳」の混乱

乗り物酔いの原因は、
(1)三半規管
(2)自律神経
(3)小脳
という3つの器官が乱れることで起こります。「三半規管」は、内耳と呼ばれる耳の奥にあり、体の動きや傾きなどの変化を自動的に捉えて、体の水平や垂直を保つ働きをします。いきなり体が倒れたりしないように、姿勢を保つ器官です。「三半規管」で捉えた感覚と、視覚で捉えた情報(景色など)が「自律神経」から「小脳」に伝わり、私たちの体は安定したバランスを保っています。

ところが、乗り物の揺れ、スピードの変化、何回もの方向転換など、普段と違う刺激がくり返されると、三半規管や小脳が混乱して、自律神経にまちがった信号を送ってしまいます。その反応として、吐き気など、乗り物酔いの症状が引き起こされます。

なぜ、子どもは「乗り物酔い」になりやすいのか?

子どもの「小脳」や「自律神経」は、だいたい4〜20歳にかけて少しずつ発達が続きます。このあいだは、どちらの器官も、外部からの刺激にとても敏感です。そのため、日常と違う状況による刺激にさらされると、「小脳」や「自律神経」は混乱をきたし、乗り物酔いにかかりやすくなるのです。つまり、体の器官の発達段階で、起こりやすい事象ということです。

小中学生の約40%は「乗り物酔い」を抱えているといわれていますが、成長に伴い、その症状は少しずつ軽快されるでしょう。一方で、小脳などが発達を迎える以前の0〜3歳までの乳幼児には、乗り物酔いの症状がほとんど見られません。

子どもに教える「6つ」の予防策

乗り物酔いは、体調の変化や不良によって引き起こされる傾向があります。したがって、
(1)外出の前日は早寝をして十分な睡眠をとる
(2)空腹、食べ過ぎの状態で乗り物に乗らない
(3)酔い止め薬を服用する、などの準備を抜かりなく整えておきましょう。

車内では、
(4)なるべく進行方向を向く
(5)頭や体をむやみに動かさない
(6)読書、ゲーム機、スマートフォンの操作は控える、といった対策を心がけます。

また、昔から乗り物酔いには、「アメ玉」や「梅干し」が効くといわれています。アメ玉は血糖値を上昇させて脳を覚まし、小脳の混乱を抑える効果があります。そのうえ、いくつか食べても満腹にならない利点も挙げられます。梅干しは、唾液の分泌を促し、三半規管のバランスを整える効果があるためです。乗り物酔いしやすい子は、どちらも携帯しておくと、いざというときに助かるでしょう。